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Q 聴覚障害児童(小学校)の教育環境はどのようになっていますか?

小学校段階の教育環境
聾学校幼稚部で教育を受けた子どもが小学校段階に進む場合、そのまま聾学校小学部に入る場合と、通常の小学校に変わる場合があります。後者をインテグレーションといっています。難聴幼児通園施設や幼稚園・保育所のみで過ごした子どもの場合はほとんどが通常の小学校に入ります。
聾学校小学部では、聴覚障害児一人一人のニーズに配慮しながらきめ細かな学習指導がなされます。ただ、聾学校に在籍する児童の数は次第に少なくなってきており、1学級の構成員が1人あるいは数人というところが大部分です。そうすると、友人関係が固定される、競争心や協調心が生まれにくい、学習が児童の能力レベルに止まってしまって高められない、学校にいる時間の多くが教員と児童の1対1になり息が詰まる、伸び伸びとした子どもらしさや社会性が育たない、といった弊害が起きてくるおそれがあります。

小学校に入学する聴覚障害児の教育環境は次に示すようにさまざまです。

  • 固定制の難聴学級があって、ある程度の数の聴覚障害児の集団が構成され、教科指導やその他の多くの教育活動が児童のニーズに添った形で進められる。
  • 国語や算数などの主要教科は難聴学級で学習し、その他の教科は通常の学級で聴こえる子どもと共に授業を受ける。
  • 通常の学級に在籍して聴こえる子どもと共に授業を受け、1週間に数時間、自分の学校、他の小学校、聾学校などに設けられている通級指導教室に通って、補聴器の活用、発音発語の指導、教科の補充指導、心理的なカウンセリングなどの特別な支援を受ける。
  • 通常の学級で学ぶ聴覚障害児のところに定期的に通教指導教室の教員が出向き、必要な相談や支援を行う。
  • 聴覚障害児が授業を受けている通常の学級に難聴学級や通級指導教室の教員、教育支援員が入りこみ、学級担任を助けて学習の個別援助、ノートテイク、通訳などを行う。
  • 何も特別な手立ては行われずに聴覚障害児が通常の学級で学ぶ。

固定制の難聴学級の場合を除いて、小学校で学ぶ聴覚障害児の大部分は多数の聴こえる子どもに囲まれて一人だけで学校生活を過ごさなければなりません。教科学習は教科書や黒板に書かれた文字を頼りにして、独学に近い形で進めます。子どもの能力にもよりますが、家庭学習で補うなどの方法で聴こえる子どもと同様の学力を獲得することは可能です。しかし、学級や学校全体で行われる活動になると得られる情報には限界があります。教室全体が教師の話でどっと沸いた場面でその事態がつかめずに作り笑いをしたり、集団の会話の輪に入れずにあいまいなうなずきでその場を取り繕う、といったことがしばしば起こります。常に周囲の状況や友だちの行動に注意を向けていなければならないので、過度の緊張を強いられることにもなります。
外向的な性格で集団活動にとけ込むことができる聴覚障害児もいますが、常に疎外感を抱いたり、孤独を感じたり、待ちの姿勢が身に付いてしまうこともあります。場合によっては孤立していじめの対象になり、不登校の状態に陥るといったケースも見られます。通常の小学校で学ぶ聴覚障害児の状況には環境によって大きな違いが見られます。

TipSheet「聴覚障害幼児・児童・生徒を囲む教育環境」根本匡文より
(2007/11/30)

参考になる資料
聴覚障害幼児・児童・生徒の教育環境については、以下のTipSheetに概要がまとめられています。

チップシート「聴覚障害幼児・児童・生徒を囲む教育環境」1チップシート「聴覚障害幼児・児童・生徒を囲む教育環境」2

TipSheet「聴覚障害幼児・児童・生徒を囲む教育環境 ⑦」
 根本匡文(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)

 障害の早期発見と教育の開始
 幼児段階の教育環境
 小学校段階の教育環境
 中学校段階の教育環境
 高校段階の教育環境
 障害とニーズの多様性
→ダウンロード(pdf)



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