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聴覚障害学生のエンパワメント事例集


写真:エンパワメント研修会の様子1写真:エンパワメント研修会の様子2写真:エンパワメント研修会の様子3

エンパワメントに向けた事例集

2. 支援の活用

ニーズを伝えよう!「手話通訳」実践例

 2011年にPEPNet-Japanが実施した「聴覚障害学生のエンパワメントモデル研修会」の実践報告を元に作成しています。参考事例としてご覧ください。

 本企画では、各班4・5名の学生に対し、司会・講師及びアドバイザーの2名の手話通訳利用経験豊富な聴覚障害者が議論をリードする形で進行した。学生の手話通訳利用経験は、全くない者からゼミでの通訳利用経験がある者まで様々であったが、企画を終える頃には、自らのニーズを自覚し、それを通訳者に伝えることが、自分にとって情報が「わかる」環境に直結することを体験することができた。

役割


人数背景
司会・講師1名聴覚障害当事者。高等教育における手話通訳に関する研究に携わり、ろう学生の手話通訳に対するニーズに精通している。
アドバイザー1名聴覚障害当事者。ろう学校・民間企業で働いた経験があり、高等教育における手話通訳に関する研究にも携わる。
アシスタント1名スタッフ。
手話通訳者1名高等教育場面における手話通訳の経験が豊富である。

自分の通訳ニーズを知ろう!

ディスカッションの様子

 ディスカッションに先立ち、同一の講義内容を元に通訳した、特徴の異なる2つのモデル手話通訳映像を視聴した。講義の内容は、一般教養科目の「哲学」とし、時間は約1分間とした。1つ目に見たモデル手話通訳は、音声日本語の語順にそった手話の表出をしており、口形もほぼ日本語通りに付いた通訳であった。対して2つ目に見たモデル手話通訳は、音声日本語の語順にはとらわれず、日本手話の文法を用い、空間活用・視覚的表現の見られる通訳であった。  学生はモデル通訳を視聴後、それぞれが気付いた点、感想を話し合い、次の模擬通訳で手話通訳者にニーズとして何を伝えるのかを話し合った。

以下は、多く見られた意見の例である。

モデル手話通訳1
  • 音声日本語に沿った表出だった。
  • 手話を覚えたばかりの学生には合っている。
  • 表情がない。
  • 手話が小さく読み取りにくい。
  • 口形がはっきりしていて、わからない手話が出てきても理解できた。
  • 専門的な内容になると、口形を読み取るだけでも大変かも…。

モデル手話通訳2
  • 表情が豊かで、次の展開が予想できて良い。
  • 内容がきちんと伝わる。
  • テンポが良い。
  • 手話を日常的に使うろう学生向き。

通訳者へのリクエスト
  • ゆっくり表してほしい(手話に不慣れな学生もいるため)。
  • 大きく表してほしい(同上)。
  • 通訳中に聴覚障害学生と目を合わせて、理解しているか確認してほしい。
  • 単語をきちんと伝えてほしい。
  • 表情を豊かにしてほしい。

実際に手話通訳を受けてみよう!

 通訳者へのリクエストがまとまったところで、模擬通訳で手話通訳者を担当する通訳者が入室し、模擬通訳の事前打ち合わせを行った。この場で学生は、手話通訳者に対してリクエストを述べた。通訳者とやり取りする学生はじめは学生も遠慮がちであったが、司会・講師が「自分のニーズは遠慮しないで全て通訳者に伝えた方がいい」とアドバイスすると、積極的な発言が増えた。 模擬講義の内容は、手話通訳の利用経験が少ない学生がいることを考慮し、専門知識がなくても読み取りやすい、一般教養科目のレポート試験に関する説明とした。時間は約1分間であり、通訳者は可能な限りニーズに対応して通訳を行った。

司会、講師・アドバイザーからのコメント

 最後に司会、講師・アドバイザーから学生に対して、手話通訳を使いこなすことの重要性についてまとめのコメントがあった。
講師
「大学在籍時にも手話通訳を使う機会はあるが、実は卒業後に、職場、学会発表、子育てなど様々な場面で手話通訳が必要な場面が増える。手話通訳、パソコン通訳に関わらず、色々な通訳方法を知って使いこなすということは、みなさんにとって非常に大きな力になる。手話通訳者にも色々なタイプの人がいて、自分に合わないなと思う人が来るときもある。そのときに、自分のニーズをはっきりと伝えることが大事。ニーズを伝える力を持つことが、きちんと仕事をしていくことにつながっていく」

アドバイザー
「私は13年間、民間企業でコンピューター関連の開発の仕事をしており、その中で手話通訳を依頼していた。例えば、コンピューターに関して新しい勉強が必要なとき、研修会できちんと内容を把握するために手話通訳を依頼した。手話通訳、要約筆記など試しにいろいろ依頼したが、私は手話通訳が一番安心して見ていられて、内容も理解できた。また、入社当初は手話通訳がつかなかったが、私は上司に「内容がわからないままでは仕事が進められない。手話通訳がつくと仕事もスムーズに進む」と話し、手話通訳が必要だと交渉した。このような交渉力も必要になる。大学を卒業した後も、会社で手話通訳を使うことを覚えておいてほしい」

アドバイザーの話

学生の感想

 模擬通訳終了後、学生からは「非常にわかりやすかった」「映像の通訳と生の通訳の違いはあるものの、模擬講義の手話通訳は理解しやすかった」「ニーズをはっきりと伝えたことで、モデル手話通訳1とモデル手話通訳2の良い所取りをした通訳になった」「こんなにも通訳者が要望に応えてくれるものだとは思わなかった」「自分のニーズは遠慮せずに全て伝えてよいものだと初めて知った」などの感想が聞かれた。

まとめ

本企画では、自らのニーズを発見し、それを手話通訳者に伝え、自分によってより良い情報保障環境を整えられるようになることを目的に、異なる特徴を持ったモデル手話通訳の視聴と意見交換、及びニーズを伝えた上での模擬通訳を行った。結果学生は、通訳に対して望むことを言語化することで自分の持つニーズを明確に捉えることができた。さらに、目の前の手話通訳者にそれを伝えることで、通訳が自分に合うように明らかに変化する体験をし、情報保障を主体的にコントロールすることの重要性を知ることができた。今回の企画で学んだことを今後大学で、社会人生活の中で実践し、活躍してくれることを期待したい。
また、今回の反省点として、文字による情報保障を日常的に利用する学生に対する企画開始前の配慮が挙げられる。本企画は聴覚障害者の講師によって手話により進行されたが、手話がわからない学生にとっては進行や議論がわからない状況が発生した。今回の場合は、途中から同じグループの参加者またはアシスタントがパソコンノートテイクを行うことで対応した。企画側としては、そのような学生には自ら話の内容が分からないことを表明し、解決策を提案してほしいという気持ちもあったが、もし今後同様の企画を行う場合は、企画開始前にその旨をよりはっきりと伝える必要があるだろう。

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