Q 本当にこのような支援体制の構築が必要なのですか?

聴覚障害学生支援先進国のアメリカでは、在籍する聴覚障害学生への支援のために手話通訳者を職員として雇用するのが一般的です。また、近年我が国でもこうした方法で専門性の高い保障を提供する大学も出てきています。すべての学生に対してきちんと伝わる授業を実施すること、これは、本来大学教員あるいは大学全体にとっての責務であるはずです。

そう考えると、このような情報保障体制の構築も、少数の聴覚障害学生のためではなく、大学側が本来の責務をまっとうするためのひとつの手段であると考えられます。たった1人・2人の学生のためにそこまでの労力はかけられないとか、そのような予算的余裕はないなど、いろいろな事情もあるかもしれません。けれども、今目の前にいる学生のために構築した体制は、今後必ず大学にとっての大きな価値になるはずです。

もちろん、今すぐに立派な制度を作ることは難しいかもしれません。けれども、今先駆的な取り組みを行っている大学もみんなはじめは1人の学生の入学がきっかけに少しずつ体制を整えていったものなのです。ですから、ぜひとも聴覚障害学生支援を大学の財産のひとつとしてとらえ、よりよい大学作りのために、すべての学生が等しく学習できる環境作りを進めていっていただければ幸いです。

TipSheet「高等教育における聴覚障害学生支援」白澤麻弓より(一部改)
(2007/11/30)

参考になる資料

講義保障の基本的な考え方ついては、以下のTipSheetに概要がまとめられています。

TipSheet「高等教育における聴覚障害学生支援 ①」
白澤麻弓(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)

 聴覚障害学生支援の必要性
 聴覚障害学生の感じる困難
 講義保障の手段
 講義保障の担い手


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チップシート「高等教育における聴覚障害学生支援」2

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一歩進んだ聴覚障害学生支援-組織で支える-
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