Q これまでの国立大学における障害学生支援の予算的補助は、どのようなものでしたか?(平成29年以前)
国立大学における障害学生支援の予算補助の制度は、これまで折に触れ見直しがなされてきました。経費のあり方は、国の障害学生支援に対する考え方や方針と密接に関わってきました。ここでは参考情報として、過去の補助について説明します。
平成23年度までは、運営費交付金の特別教育研究経費(教育基盤強化支援経費;特別7)という項目で、学生の人数に応じた予算配分がなされていました。(教育支援分として、その年度に在学している聴覚障害学生一人あたり300,000円、設備充当分として、その年度に入学した聴覚障害学生一人あたり300,000円)
平成24年度からは、障害学生支援はすべての大学が取り組むべき課題であるとの考え方から、障害学生に関わる予算は「一般経費」に組み替えられました。
交付される額は、平成23年度時点の交付額×0.9(千円単位未満四捨五入)となり、この額が24年度以降、毎年恒常的に交付されることになりました。したがって、24年度からは年ごとの障害学生数の調査もなくなっています。もしかすると、大学によっては、「23年度はたまたま障害学生数が少なく、その後人数が増えたため予算が足りない」という事態が起きるかもしれません。しかし、上述のとおり障害学生支援はすべての大学が取り組むべきものと考えれば、交付金の有無や額に関係なく、学内で必要な予算措置を行い、支援体制を整えることが求められるようになったということです。
こうした体制整備重視の方針に基づき、平成24年度には一般経費の中に「障害者向け情報発信促進等経費」という項目が新設されました。これは、各大学における障害者の受入れ体制や相談対応体制の充実に関わる教員を配置するための必要経費を措置するもので、具体的には下記のすべての条件を満たせば教員1名分の経費が交付されるというものでした。
- 障害のある学生の相談や支援を担当する部署を設置している
- 常勤の教員を1名以上配置している
- 常勤の職員を1名以上配置している、又は、非常勤の教員及び非常勤の職員を2名以上配置している
この措置は平成24年度に初めて各大学に調査が行われ、平成29年度交付分まで、状況調査とそれに基づく経費の措置がなされました。29年度までに上記条件に該当した大学については、平成30年度以降も毎年、一般経費の中に、当該経費分の金額が措置されています。