聴覚障害学生のための意思表明支援のために―合理的配慮につなげる支援のあり方―

2017年3月31日発行

PEPNet-Japanでは、「平成28年度新たな時代のニーズに対応したモデル事例構築事業」として、「聴覚障害学生の意思表明支援―支援担当教職員の役割を中心に―」に取り組み、本書を作成しました(主幹:関東聴覚障害学生サポートセンター)。

事前調査とインタビュー調査を通して、大学において支援担当教職員が聴覚障害学生の「意思表明」をどのように捉えているか、また、これを引き出し支えるためにどのような支援を提供しているかを明確にしたいと考え、取り組んだものです。

調査にご協力くださったすべての支援担当教職員が、聴覚障害学生一人ひとりに向き合おうと日々奮闘している様子には、心揺さぶられるものがありました。聴覚障害学生の意思表明のために、あるいは学びを深めるために、「情報保障」が存分に活用されていましたが、「情報保障」はあくまでも「手段」であり、「目的」ではないことが明確に伝わる語りでした。ここから聴覚障害学生支援コーディネートの専門性の一端が垣間見えること、その専門知を余すところなくお伝えしたいとの思いから、本書に頁数を費やすことになりました。

大学に入学した聴覚障害学生の成長にともなうゆらぎを支えるためには、本人の思いを引き出し、育てる「意思表明支援」が不可欠なことを、現場の専門的支援が物語っているように思います。ぜひお手にとっていただければ幸いです。

(「はじめに」より引用。一部加筆)

<目次>

はじめに

第1章 聴覚障害学生と意思表明

  • 第1節 法律からみた「意思表明」とは
  • 第2節 聴覚障害学生からみた「意思表明」とは

第2章 聴覚障害学生の意思表明支援における支援担当教職員の役割

  • 第1節 聴覚障害学生の意思表明支援に関する事前調査・インタビュー調査について
  • 第2節 事前調査回答のまとめ―聴覚障害学生の状況に応じた支援体系図―
  • 第3節 聴覚障害学生の意思表明をうながす支援のポイントとは
    1.初回面談での対応
    2.情報保障の基盤形成
    3.情報保障の実践的見識の形成
    4.関係性の構築と促進
    5.聴覚障害学生の当事者性の涵養
    6.情報保障を利用しない学生との関係の構築と維持
    7.環境整備
    8.支援担当教職員が持つ支援技術
  • 第4節 今回の調査からみえてきたもの

第3章 ワークショップ

  • 第1節 ワークショップ概要
  • 第2節 基調講演「大学生の援助要請行動のプロセスから考える障害学生支援」報告
  • 第3節 グループディスカッション―扱った事例と対応例―
  • 第4節 参加者のフィードバックシートから

巻末資料

聴覚障害学生の意思表明支援のために画像

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ダウンロードして閲覧することも可能です。
→ 「聴覚障害学生のための意思表明支援のために―合理的配慮につなげる支援のあり方―」(全132ページ)
(筑波技術大学リポジトリのページが別ウィンドウで開きます)

大学・短期大学等でご活用いただくことを目的に作成していますので、紙媒体での印刷配布は自由に行っていただいて構いませんが、著作権はPEPNet-Japanに帰属しています。
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発行国立大学法人 筑波技術大学
編集日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
「聴覚障害学生の意思表明支援のために」編集グループ
監修・執筆吉川あゆみ(関東聴覚障害学生サポートセンター)
有海順子(関東聴覚障害学生サポートセンター/山形大学)
甲斐更紗(関東聴覚障害学生サポートセンター/九州大学)
益子 徹(関東聴覚障害学生サポートセンター/日本社会事業大学大学院博士後期課程)
池谷航介(大阪教育大学)
太田琢磨(愛媛大学)
木谷 恵(立命館大学)
白澤麻弓(筑波技術大学)
松﨑 丈(宮城教育大学)
編集萩原彩子(筑波技術大学)
編集補助中島亜紀子(筑波技術大学)
平良悟子(筑波技術大学)

※敬称略、肩書きは発行当時

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