実践発表P2 タイトル:聴覚しょうがい学生への理解を促す体験型授業の取り組み~教職大学院の講義を活用して~ 発表者:宮城教育大学 しょうがい学生支援室 前原明日香 佐藤晴菜 五十嵐依子 ■1.本取り組みのきっかけ ・教職大学院の講義「特別支援教育とICT」内で、聴覚しょうがい領域におけるICTの利活用に関する内容を支援室で担当してほしいとの依頼。 ・久しぶりに今年度聴覚しょうがい学生が教職大学院に入学。 ■2.内容構成のねらい 受講生は聴覚しょうがい学生と共に学ぶ院生。そして、将来は現場に出て教員になる学生や現職教員でもある。 「ICTがあればいい」ということではないと気づき、共に学ぶためにどうするかという視点も持ってほしい。 ⇒教職大学院の講義で多く用いられるUDトークの紹介時に、聴覚しょうがい学生の立場を体験してもらう内容で構成することに。 ■3.当日の流れ ①YouTubeを利用した字幕づけ 動画のアップロードから、実際の字幕編集までを体験。 ②補聴援助システム(ロジャー) ロジャーセレクトと受信機を接続し、受信機にイヤホンを差してグループで音声の聞こえ方を確認。 ③音声認識アプリ(UDトーク) 2つの形式で体験を行い、受講生同士で感想や利用時の留意点を共有。 A)講義形式 講師役1名、聞こえない学生役2名、UDトークの修正者2名、観察者1名で、講師の話を聞く体験。 B)ディスカッション形式 聞こえない学生役2名と聞こえる学生役3名、 UDトークの修正者1名で、設定したテーマで話し合う活動。 (UDトーク体験時の写真 1枚目:机の上にスマートフォンが置かれており、UDトークを起動させている。 2枚目:パソコンでUDトーク for Windows を立ち上げ、内容の確認と修正を行っている。) ④パソコンノートテイク T-TAC Captionを使用して、2名での連携入力。音声情報をオンラインで配信・入力するパターンも体験。 ■4.受講生の感想 <感想> ・周りの状況が把握できない中で話が進んでいくことや、自分で情報を得ることができない不安や心細さを感じた。 ・視覚的に情報を得ることができても会話への入り方が分からなかったり、表情と内容を同時に得ることが難しかったり等不便があった。 ・話を聞くことや話し合いに参加することの困難を体験することができた。 ・発信側の情報が受信側に正しく伝わっていないと実感した。 <利用時の留意点> ・機器を活用しながらもそれ以外を補う必要がある。 ・デメリットについても幅広く考える必要があると考えた。 ・ただデバイス・アプリを使うだけではなく、手話や筆談など、場や聴覚しょうがいの子に合わせた手立てを行わないと有効に使っていけない。 ・文字起こしアプリも誤変換がある。ICTが不具合となることもある。だから、定期的に情報が正しく伝わっているかを確認することで、より良くICT機器が利活用できると思う。 ■問い合わせ先  宮城教育大学しょうがい学生支援室 TEL FAX 022-214-3651 メール csd@grp.miyakyo-u.ac.jp