実践発表 タイトル:デフ陸上競技選手へのコーチングに関する実践報告〜手話にかわるジェスチャーを使用して〜 発表者:池和田 克彦(東京女子体育大学),宮城 莉央(東京学芸大学) ,繁田 進(東京学芸大学) ■1.本取り組みのきっかけ 大学の陸上競技部に聴覚障害学生(以下デフ選手)が入学した。しかし、大学の指導者は初めてデフ選手を指導することになったが手話ができないため、どうのように指導すれば良いのか考える必要があった。 ■2.実施した内容 大学陸上競技部に所属している聴覚障害の男子学生デフ棒高跳選手(以下デフ選手)1名を対象に棒高跳の跳躍練習時の指導を一般の選手と一緒に行った。練習後にデフ選手と指導者の間でどのようにすれば意思の疎通ができるのか意見を出し合うことにした。デフ選手は聴覚障害者の視点から、「指導者の伝え方」について問題点や具体的な改善方法を考え指導者へ伝え、指導者はその提案から指導者視点でも改善が必要なことを考えた。 ■3.提案・改善の検討結果 デフ選手の視点  ・アドバイスに関連する棒高跳びの動作をジェスチャーで示してほしい。 指導者の視点 ・デフ選手と指導者間でジェスチャーが棒高跳の何を意味しているのかについての共通理解が必要。 デフ選手と指導者の間で、事前に共通理解ができている手話に代わる【競技に特化したジェスチャー】があるとアドバイスの意図が伝わりやすい。 ジェスチャーの例 : 助走のスタート位置を10p前に変更することを伝える場合  棒高跳ピットを横から見た図(左から右に、スタート位置を示す矢印、助走路、マット、支柱・バーの図) ジェスチャーの写真4枚(対面している状態)  @.両手を横に開く                     = 助走距離を示す  A.右手を上から下に下す                   = スタート地点を示す  B.右手人差し指を立てイチをつくり、左手指でゼロを示す   = 10cmを示す  C.右手の人差し指を前方にする              = 前に位置を変更を示す ■4.今後の課題 デフ選手の競技力が向上するにつれより、より詳細なアドバイスが必要となる。このため、今後はそれに対応できるようなジェスチャーの種類を増やす必要があると思われる。 問い合わせ先 東京女子体育大学 女子体育研究所   池和田 克彦     Email:k-ikewada@twcpe.ac.jp