タイトル:中央大学ダイバーシティセンターにおける聴覚障害学生支援 ― 学生目線からの実感を交えて ― 発表者:(中央大学ダイバーシティセンタースチューデント・アシスタント)渡井心結 1.背景 中央大学は2017年の「ダイバーシティ宣言」に基づき、ダイバーシティセンターを設立。(校正者注:「ダイバーシティ宣言」ダイバーシティセンター 下線) 障害/ジェンダー・セクシュアリティ/グローバルの3領域に専門コーディネーターを配置し、学生・教職員・学外関係者と連携しています。 (詳細は右上のQRコード「ダイバーシティ宣言」へ https://www.chuo-u.ac.jp/campuslife/diversity/declaration/) ・2017年の中央大学「ダイバーシティ宣言」に基づき活動開始。 ・専門コーディネーターが個別相談・合理的配慮を検討。 ・聴覚障害支援はコーディネーターを通じ、各部署と連携。 2.支える人の体制 ■スチューデント・アシスタント(SA)制度(校正者注:スチューデント・アシスタント 下線) ・ダイバーシティーセンター管轄 ・登録学生約200名。アルバイトとして活動。 ・役割:ノートテイクや文字起こし/移動支援/ダイバーシティーセンター主催のイベントスタッフなど ・SA専用のメーリングリストにより募集や情報共有。 ・登録学生のうち、単発を含めても活動への参加学生は少ない。 3.聴覚障害学生への具体的な支援 詳細は右のQRコードへ。 「障害学生支援のためのハンドブック(学生版)」 https://www.chuo-u.ac.jp/campuslife/diversity/disability/book/ ■配慮文書作成: 学期始めに担当教員へ学生の配慮事項を共有。 ■貸出機器: AmiVoiceマイク:高性能マイク。最大、学期ごとの貸出。 SA用のパソコン:センター貸出。SA自身の私物使用も可。 その他:「中央大学「障害学生支援のためのハンドブック(学生版)」p.15「学内で利用可能な支援機器」 ■情報保障(聴覚障害のある学生向け): -授業中の音声をリアルタイムで文字に変換する支援。 -利用者の希望によりノートテイカーは隣席/離席で対応可能。 ・手書きノートテイク:紙に文字化。 ・UDトーク:大学が法人アカウントを契約している音声認識アプリ。リアルタイムで字幕を提供。文字編集が可能で、SAによる修正可。 ・CaptiOnline:複数人で、連係入力しながら手打ちして字幕を提供。 ・音声教材の文字起こし:授業で使用される動画などの字幕を事前に作成。 ■Googleスペース: ・学生・SA・コーディネーター間の連絡に使用。 ・欠席連絡などが気軽にできる一方、アカウント名の表示が自由編集できずメールアドレス名が使用されるため、学生が識別しにくい点に課題あり。 ■学生発案の工夫: ・Googleドキュメント活用:3人以上のグループワーク。複数SA同士が同時編集し、グループワークの音声を文字化。 Googleドキュメントの利用 (画像:Googleドキュメントのスクリーンショットとその一部拡大図が横並びになっている。左のスクリーンショットは「情報英語T 2回」とタイトルあり、学生の着席位置の図や、記入枠、ドキュメントへのコメント入力がある。右は拡大図で、「グループワークの時の表(テンプレ)」とタイトルあり、学生の着席位置の図と、記入枠が横並びで3枠あり「話者A(真後ろ)」「話者B(右後ろ)」「話者C(隣:距離が近く聞き取りやすいので、優先度低い)」とそれぞれ上部に書いてある。) 4.交流の広がり ■グラウンドルールの共有 ・ダイバーシティーセンター主催のイベントにて冒頭にコーディネーターが説明。 ・参加者の心理的安全性を保つためのルール設計となっている。 (画像:パワーポイント画面のスクリーンショット。内容は以下の通り) (内容ここから) 中央大学ダイバーシティセンターによるグラウンドルール 【イベントルール(グラウンドルール)】 1.他の参加者の意見を否定しない 2.無理に話を聞き出そうとしない(パスOK) 3.多様な背景があることを前提に、言動に気をつける 4.イベント内で知り得た情報(個人情報)を外に持ち出さない 5.許可のない撮影、録画、録音等をしない (内容ここまで) ■手話っと交流会 ・コーディネーターが手話交流企画として外部のろう講師を招聘 し開催。 ・中大生にとって、学校という身近な場所でリアルな手話に触れ る機会になっている。 ■ダイバーシティウィークス ・講演会や上映会の開催。 ・学内外から参加者が多数来訪。 ・2025年は、デフ陸上の佐藤湊(さとう そう)選手が登壇。 (画像:「ダイバーシティウィークス」ポスター。佐藤湊(さとう そう)選手講演、タイトル「デフアスリートでトランスジェンダーな私のよもやま話。) (写真:「手話っと交流会」の様子。ホワイトボードを背に立った講師を中心に、複数の学生が囲んで座っている。) ■フォローアップミーティング ・学期の中間に行うSAと利用学生を交えた交流・振り返りの場。 ・具体的課題や改善案が出る機会。 ■学生交流会 ・学期末に行うSAと利用学生を交えた交流・振り返りの場。 ・これからサポートに携わりたい学生が参加したり、学生が進行してみんなで楽しめるゲームをしたりすることもある。 5.まとめ・今後の課題 ・中央大学ダイバーシティセンターでは、制度と学生の意見を組み合わせた柔軟な情報保障を実施しており、また、学習修学支援にとどまらず、学生が安心して自己理解を深め、多様な人とつながる場を提供している。 ・一方で、SAのアクティブ率の低さや、情報保障に関わるスキルや経験の共有方法、モチベーション維持の仕組みづくりは今後の課題である。 ・また、大学内での取り組みに限らず、他大学の実践や利用者・支援者双方の声を取り入れながら、持続可能で開かれた支援を目指すことが求められる。 問い合わせ先:中央大学ダイバーシティセンター(右のQRコードより https://www.chuo-u.ac.jp/inquiry/form/?id=134) QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。 以上