2024年6月6日更新
現在、字幕の編集や映像への挿入ができる様々なツールがあり、大学等でも、映像教材や映像授業への字幕挿入支援を行う例が増えています。ここでは 、映像への字幕付与の手順や、使用できるツールの例を紹介します。
1.字幕挿入の流れ
映像教材に字幕をつけるには、使用するソフトウェア等によって多少異なる場合もありますが、おおむね次のような手順で進められます。
- 映像を、編集を行うソフトウェア等で操作可能な形式に変換する(元映像に直接字幕を付けるのではなく、字幕入り映像を別に作成する・DVD等の場合はコピーを作成する)
- 文字起こしを作成する(聞きながら手作業で作成する/音声認識機能を活用する)
※ソフトウェア等によっては、映像を読み込む際に音声認識による自動字幕が作成されるものもあります。 - 文字起こしテキストを、字幕用に校正する(使用するソフトウェアや利用者のニーズに合わせ、学内で行数等の校正ルールを定めているところが多い)
- ソフトウェア等を使って、映像に字幕を挿入する
※自動字幕が作成されるツールの場合は、初めから映像と文字を同期させているものもあります。
その場合には、読みやすい文字数や行数に編集する作業を行ないます。 - 字幕入り映像を何らかの動画形式、またはDVD等のメディアに出力する。
- 作成した字幕入りの映像は、著作権法に則って適切な方法で管理する。
全作業にかかる時間は、教材の長さや字幕作成を担当する人数・体制によって異なりますが、支援室等で字幕作成作業を担当している場合、授業で使用する2週間~1ヶ月前までに映像提供してもらうよう、教員に依頼してい大学が多いようです。
2.字幕作成・付与に使用できるツールの例
次に、映像に字幕を作成する作業をするための、ソフトウェア等について紹介します。いずれのソフトウェアも、作業中に多くの処理が行われますので、メモリ等に十分な空き容量がある状態で利用することをお勧めします。また、パソコン本体ではなく、外付けメモリ等を作業データの保存先に設定すると良いでしょう。
おこ助Pro3
【メーカ】MASC(NPOメディア・アクセス・サポートセンター)
【価格の目安】永続ライセンス:49,940円(税込・送料別)
【ソフトウェアの特徴】
・字幕製作に特化したソフトウェア(スタンドアローン型、専用ドングルでユーザー認証が必要)。
・音声または映像ファイルへの字幕テキストの作成、編集、挿入作業ができる。
・映像への字幕普及推進のため、シンプルな機能の「おこ助Community」の無償配布もされている。
※「おこ助Community」は、福祉・ボランティア・家庭内使用に限られています。教育機関で利用いただく場合は「おこ助Pro3」の購入が必要。
【ウェブサイト】
https://okosuke.jp/
vrew(ブリュー)
【メーカ】VoyagerX
【価格の目安】
フリー版:作成済み文字起こしを元にしたタイムコード付与作業は可能。音声認識機能を活用した字幕自動生成機能は1ヶ月あたり120分の制限あり。
ライト版:年間10,400円(1ヶ月866円)。音声認識機能を活用した字幕自動作成機能は1ヶ月あたり1200分利用可能。
スタンダード版:年間19,000円(1ヶ月1,583円)。音声認識を活用した字幕自動作成機能は1ヶ月あたり6000分利用可能。
【ソフトウェアの特徴】
・動画編集ソフトとしても簡便に利用可能。
・字幕自動生成機能を活用する場合、生成された文字をアプリ内で修正可能。修正インターフェースは経験が浅い方でも使いやすい。
・文字起こしを作成済みの場合、動画を読み込む際にテキストデータ(改行入りのtxt形式、またはタイムコード情報を含むsrt形式)を読み込み、表示タイミングの調整を進めていく方法も可能。
・ネットワーク型のソフトウェアのため、共有フォルダ等で作業を進めることもできる。
【ウェブサイト】
https://vrew.voyagerx.com/ja/
Camtasia(カムタジア)
【メーカ】TechSmith
【価格の目安】
Camtasia Essentials(教育機関向け永続ライセンス):34,390円
Camtasia Create(サブスクリプション):年間43,420円
【ソフトウェアの特徴】
・動画編集ソフトの中でも操作がシンプルで分かりやすい。パソコンにソフトウェアをダウンロードして利用する(スタンドアローン型)。
・クローズドキャプションの作成も可能。
【ウェブサイト】
https://www.techsmith.co.jp/camtasia/
Premier Pro(プレミア プロ)
【メーカ】Adobe(Creative Cloudのサブスクリプション)
【価格の目安】34,680円(1年間)
【ソフトウェアの特徴】
・動画編集ソフト(ネットワーク型)。プロフェッショナル仕様のため、操作の習得に時間を要する可能性あり。
・AI音声認識を活用した字幕自動作成機能でキャプションの生成ができる。ソフトウェア内でのテキスト編集も可能。
【ウェブサイト】
https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html
Final Cut Pro
【メーカー】Apple(Mac専用ソフトウェア)
【価格の目安】45,000円(永続ライセンス)
【ソフトウェアの特徴】
・動画編集ソフト(スタンドアローン型)。プロフェッショナル仕様ではあるが、直感的な操作が可能。
・キャプションメニューから字幕挿入操作ができる。
・クローズドキャプションも、複数のファイル形式での出力に対応。
【ウェブサイト】
https://www.apple.com/jp/final-cut-pro/