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2021.11.19

入学時のオリエンテーションで配慮すべきこと

2024年6月6日更新

オリエンテーションでの情報保障

授業開始までに行われる新入生を対象とした一斉オリエンテーションでは、学生にとって大切な情報がたくさん提供されます。
多くの場合、詳細な資料が用意されますが、口頭で伝えられる細かな情報こそ、学生生活にとっては重要であることが多いので、聴覚障害学生のニーズに応じた情報保障を用意し、これから始まる学生生活(履修、登録、授業、課外、教職員との関わり、施設・設備の利用など)について、きちんと伝えられる手段をとります。
オリエンテーションは入学式直後に行なわれるケースが多く、この時点ではまだ、学内での支援者の養成や配置準備が整っていない場合も考えられます。
手話通訳や要約筆記(パソコンノートテイク)の派遣を利用する場合は、各地域の行政、社会福祉協議会、情報提供施設等にお問い合わせください。オリエンテーションの場合、毎週継続して行なわれる大学の授業とは別で単発の行事として扱われますので、大学からの依頼によって地域の派遣センターから通訳者の派遣を受けることが可能です。
また、学内の人材で対応する場合、ノートテイクの技術を十分に習得していなくても、資料に補足の説明を書き込んだり、パソコンで説明の要約を入力したり、参照する資料を指さしたりといった方法で、聴覚障害学生の参加をサポートする体制をとることが考えられます。
支援担当部署の職員の方が交代で担当したり、学部の上級生、大学院生など数名の学生に簡単にノートテイクの方法を指導しておき、TAのような形でサポートをしてもらうといった方法で、初動体勢を取っている例もあります。
なお、オリエンテーションの実施時間内での情報保障だけでなく、終了した後に個別に補足説明や質問を受けられる機会を設けることも大切です。ノートテイク等のサポートがついたとしても、情報を見逃してしまったり、その場ですぐ質問がしづらいこともあります。最初の機会だからこそ、丁寧な情報提供の対応を取ることで、安心して大学生活をスタートすることができます。

オリエンテーションの機会を生かした支援の周知

全ての新入生が集まるこの機会は、理解啓発のためのチャンスでもあります。
学内に障害学生を支援する体制があること、様々な学生が共に学んでいること、支援を担う学生を募集していることなどを伝えたり、パンフレットやガイドブックを配布するなどして、サポート体制の周知を図ります。パソコン要約筆記などの支援の様子をスクリーンに投影するなどして「見える」形で実施することも、PRにつながります。 
聴覚障害学生本人から、サポートの状況や支援者の必要性をスピーチしてもらう方法をとっている大学もありますが、その場合には学生本人の意志や心理的な状況を十分把握した上で行いましょう。

TipSheet「入学当初のサポート」(土橋恵美子・倉谷慶子・中島亜紀子)に一部加筆