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2024.06.19

情報保障の基本:パソコンノートテイクとは

文字による情報保障手段として、パソコンノートテイクを導入する大学が増えています。パソコンによるノートテイクは入力の方法で大きく二つに分けられます。

連係入力によるパソコンノートテイク

連係入力は、2人の入力者で1つの文章を入力して行く方法です。文の前半を入力者Aが入力し、後半を入力者Bが入力します。これを繰り返すことで、1人で入力するよりも遅れず入力ができ、伝えられる情報量も多くなります。連係入力用のシステムがいくつか開発されていて(いずれも無料ダウンロード可)、これらを使って入力を行ないます。

【実施例1】
右の図は、対面授業で入力者も聴覚障害学生も教室にいる場合の例です。パソコン同士を有線でつなぐ方法だけでなく、インターネット接続を使うシステム(遠隔情報保障)を使えば、入力者と聴覚障害学生が離れて座って実施することも可能です。
1つの授業を3人で担当する場合は、2人ずつローテーションで入力したり、1人が修正・フォローを担当するといった分担方法があります。

パソコンノートテイクのイラスト。入力者が3名、聴覚障害学生が1名。

【実施例2】
右の図は、オンラインで使用できる連係入力ツールを使って、入力者が教室以外の場所(図の例では自宅)から支援をする方法です。支援できる学生が別キャンパスや自宅にいる場合や、学内にいる場合でも教室が狭い、教室移動が間に合わない等の理由で学内の別の場所から支援を行いたいというケースでも、支援が実現できます。

オンラインでパソコンノートテイクを行っているイラスト。

1人で入力するパソコンノートテイク(単独入力)

1人の入力者が、先生の話や音情報をできるだけ忠実にタイプしていく方法です。90分授業の場合、すべて1人で入力し続けることは負担が大きく伝えられる情報の質も落ちてしまうので、2人ペアまたは3人以上のチームで担当し、15分程度で交代しながら入力します。
連係入力のための研修や機材準備が整う前の段階でも、この方法で支援を開始することができます。

【入力例】
連係入力ツールを使って単独入力をすることもできますが、日常的に使用しているメモ帳アプリや文書作成ソフトなどを使って行なうこともできます。右の画像はWordを使った入力の例で、下書きモード・全画面表示、大きめの文字サイズに設定して、読みやすい画面になるよう工夫しています。

ノートテイカーが入力している画面を、隣の席で聴覚障害学生がのぞき込むような形でも十分に情報保障が成り立ちますが、モバイルモニターをつなぐ方法もあります。また、Wordのファイル共有機能や、Googleドキュメントなど共同編集ができるものを使えば、離れた座席に座っていても、ノートテイクを見ることが可能です。

Wordを使った入力例 

執筆:筑波技術大学障害者高等教育教育研究支援センター 白澤麻弓