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2025.01.07

ロジャーと音響機器を接続して補聴器と音声認識ツールにロジャーの音声を入れる方法

2025年1月7日公開

はじめに

聴覚障害学生が補聴援助システムのロジャーを活用して授業等に参加する場合、授業をする先生がロジャー送信機(マイク)を手に持ったり、首にかけて使ったりする方法が一般的です。しかし、大きな会場での集会や講演会、大教室での授業等、会場の音響機器を使用して音声が届けられる場面では、音響設備とロジャーマイクを直接つなぐことによって、拡声マイクを使って話す話者の音声を、より明瞭に補聴器/人工内耳に届けることが可能になります。
また、補聴援助を活用しながら、同時に音声認識ツールにも明瞭な音声を入力して文字情報を提示したいという場合、ロジャーシステムから補聴器/人工内耳と音声認識ツールの両方に音声を入力することが可能です。ロジャーシステムを通した明瞭な音声を音声認識ツールに入力できれば認識精度の向上につながり、誤変換修正の負担を軽減しつつより正確な文字情報を届けることができます。
ここでは、教室の音響機器とロジャーマイクを接続して補聴器に音声を届ける方法、さらに、音声認識ツールにもロジャーの音声を入力する方法を紹介します。

必要な機材

<音声取得に関わる機材>
・ロジャー送信機(マイク:ロジャータッチスクリーンマイク、ロジャーオンなど)
・ロジャー受信機(ロジャーネックループ、ロジャーマイリンクなど)
・USBタイプCオーディオケーブル(ロジャーオン附属品)※ロジャーオンを使用する場合
・3.5mmステレオミニケーブルまたはRCA端子のオーディオケーブル

注:学生・生徒が個人で購入している「ロジャーオンin」をお使いになる場合には、別のロジャー送信機(マイク)とペアリングができない/普段使っているのと別の受信機に接続できないことがあります。学校で使用する場合は、必ず接続できることを確認
してからご活用ください。

<音声認識に関わる機材>
・3.5mmステレオミニプラグ・モノラルフォン変換コネクタ
・iRig2
・iRig2と端末をつなぐケーブル(音声ケーブル、USB―Cケーブルなど)
・音声認識用端末(iPhone、iPad、ノートパソコンなど)

接続方法

(1)ロジャーシステムの接続


①送信機(ロジャータッチスクリーンマイクやオン)と、音声認識ツールと接続するための受信機(ロジャーマイリンクやロジャーネックループ)の電源を入れ、ペアリングします。
②送信機と、聴覚障害学生の補聴器や人工内耳を接続します。

ロジャータッチスクリーンマイクを、音声認識ツールと接続するための受信機および学生の補聴器や人工内耳とbluetooth接続しているイメージ図

※送信機と学生・生徒の補聴器が直接接続できない場合は、受信機(ロジャーネックループ等)を送信機に接続し、補聴器をTチャンネルに切り替える、またはテレコイルの使用をONにして受信機と接続して、送信機からの音声を聞くという方法もあります。

(2)ロジャー送信機(マイク)と音響設備の接続


①ロジャー送信機と、教室の音響設備の「音声出力」または「LINEOUT」を音声ケーブルで接続します。音響設備によって必要なケーブルの種類が異なるので、機種に応じたものを用意してください。

②タッチスクリーンマイクを使用する場合は、「各種設定」画面で「オーディオ設定」→「入力」と設定します。外部入力の設定となり、「ミュート」の赤いランプが点灯します。

タッチスクリーンマイクの設定画面の写真。「各種設定」から「オーディオ設定」のメニューで「入力」を選択する。

③ロジャーオンを使用する場合は、接続すると自動的に外部入力設定になり、ミュートになります。外部入力(♫マーク)とミュートの表示になっていることを確認してください。

左:ロジャー オンと音響機器をUSBタイプCのオーディオケーブルで接続しているイラスト
右:ロジャー オンの液晶画面に「ミュート」と「外部入力」を示すアイコンが表示されている様子
(3)ロジャー受信機と音声認識ツールの接続


・ロジャーシステムの受信機と、iRig2、音声認識用の端末を下図のように接続します。
 使用する端末によって接続方法や必要なケーブル、コネクタの種類が異なるので、機材に応じたものを用意してください。

なお、ロジャー受信機と音声認識ツールの端末とが、USB TypeCケーブル等で直接接続できる場合は、上記のようにiRigを経由しなくても音声の送信が可能です(下図参照)。

・ただし、音響機器からロジャー受信機に入力される音量が小さくなってしまう、雑音が混ざるなど音質が良くない、状況に応じ音量調節がしたい、という場合には、iRigを使用することによって、音量調整・音質向上が可能になります。
・また、直接接続する場合、ケーブルやコネクタの選択には注意が必要です。音声の入出力の方向が一方向のみとなっていて、想定している音声の入力ができないものもありますので、ご注意ください。
(例:Lightning⇔3.5mmステレオプラグの変換コネクタには、「Lightning側からの出力」のみで「Lightning側への入力」ができないものもあり、その場合は音声認識ツールへの音声入力ができません)

音声取得の流れと留意点

(1)~(3)の接続をすべて完了し、話者が教室の拡声マイクを使って話すと、その音声はロジャー送信機を通して、受信機(聴覚障害学生の補聴器、音声認識ツールを動かしている端末)に送られます。音響機器と接続することによってロジャー送信機はミュートになるため、ロジャーを通して音響機器からの音声(拡声マイクで話す先生の声など)のみが明瞭に聞こえ、環境音は拾われません。

拡声マイクを使わずに話した人の声は補聴器にも届かず、音声認識もされませんので、話し手が変わる場合は必ず拡声マイクを使用してください。
また、大教室や広いホールで使用するケースもあると思いますが、ロジャー送信機とロジャー受信機の距離は、10~15m程度までの範囲で使用してください。