■支援者の確保
誰が文字起こしや字幕付与の作業を担うかについては大学によってさまざまな体制があり、主に以下の4つのパターンが見られます。
①授業担当教員が行う
②基本的には授業担当教員が行うが、対応しきれない場合には支援室が協力する
③支援室が窓口となり、字幕・文字起こしの必要な授業映像を受けつけ、支援学生を調整して字幕付与を行い教員に返す
④業者に委託する
特に、支援学生の確保や養成が必要となる②③のパターンでは、以下のような例があります。
・パソコンノートテイクなど情報保障支援を担っている支援学生に依頼する
・ノートテイクなどの対面支援とは別に、字幕・文字起こし支援のための支援学生を募集する
・ノートテイカーとして登録している学生のうち、対面の支援はハードルが高いと感じている学生や、活動したいが時間が合わずなかなか稼働できない学生など、個々の事情に応じて文字起こし作業を担える学生に声を掛ける
■勤務管理のしくみや考え方
コロナ禍では、学生が自宅で作業をすることを前提とした運営体制が求められたため、各大学では、学生アルバイトの在宅勤務が認められるようルールを改定したり、例外を認める申し合わせを行うなどの体制整備を行った事例がありました。
自宅等で支援活動を行う場合の勤務時間の管理としては、勤務管理用のWebフォームやSNSのグループを作成し、作業開始と終了時間の報告を義務づけたり、作業中の質問や状況報告をリアルタイムでやりとりできる体制を作った例が複数ありました。
また、映像に字幕を付与する作業は支援室の専用パソコンを使って大学に来て作業することを基本とし、字幕作成や映像の最終チェックなど在宅でもできる作業は在宅勤務を認めるなど、作業内容によって勤務形態を整理した例もありました。
字幕作成や文字起こし原稿の作成作業は、時間的な制約がある場合も多いため、多くの支援者が関われるようにしたり、効率よく運営していける体制が必要にあります。在宅勤務が必須ではなくなった現在も、コロナ禍の緊急的な対応のうち、円滑な体制のために取り入れられる部分を活かして支援者の配置ができれば、映像への情報保障体制を充実させることができるでしょう。