デジタルワイヤレス補聴援助システム『ロジャー』(以下、ロジャー)にはいくつかの種類があります。それらの組み合わせによって、同一機種・または機種の異なるマイクを複数台同時に利用することができます。
ここではロジャーマイクの種類の違いと、接続方法について簡単に説明します。
各機種の詳細な操作方法については、各製品の取扱説明書をご確認ください。
1.ロジャーマイクの種類について
ロジャーマイクには大きく分けて2つの種類・グループがあります。この「同じグループの中で」マイクを組み合わせることで、複数台のマイクを同時に利用することができます。
1つは「遠距離対応」のグループです。「ロジャー タッチスクリーンマイク」と「ロジャー パスアラウンドマイク」を組み合わせて活用ができます。
また、「タッチスクリーンマイク」同士でも接続が可能です。
複数のマイクを接続する場合は、1台の「タッチスクリーンマイク」を親機として設定し、そこから接続操作を行います。これにより、複数の「タッチスクリーンマイク」や「パスアラウンドマイク」を同時に利用できます。

もう1つは「近距離対応」のグループです。「ロジャー オン/セレクト/テーブルマイク」などのロジャーマイクは、同じ機種同士、または機種が異なっていても同じマイクネットワーク(マルチトーカーネットワーク)の接続(ペアリング)を最大10台までできます。
例えば、学生さんが「ロジャー オン」を個人で所有していて、大学に貸出可能な「ロジャー セレクト」がある場合、この2台のマイクをペアリングさせて集音することができます。
接続の方法や活用例については、次にご紹介します。

2.聴覚障害学生の補聴器・人工内耳に音を届ける方法
「遠距離対応」「近距離対応」のどちらのグループも、ロジャーマイクを利用して音声を聞く場合、補聴器・人工内耳をTコイル(テレコイル・誘導コイルなどの名称があります)のプログラムに切り替える必要があります。
このTコイルのプログラムは、どのメーカーの補聴器・人工内耳でも共通の規格で提供されているため、対応している補聴器であれば(注1)補聴器販売店等で補聴器に追加することが可能です。
フォナック社以外の補聴器をお使いの場合でも、Tコイルのプログラムがあれば、ロジャーマイクを活用した補聴援助ができます。
Tコイルへの切替は、補聴器のボタンを操作するか、補聴器・人工内耳をコントロールできるスマートフォンアプリで操作します。
注1:耳あな式の補聴器や、一部の補聴器ではTコイルが内蔵されていない場合もあります。まずは学生さんに、Tコイルのプログラムが利用できるかを確認しましょう。メンテナンスを依頼している補聴器販売店などに問い合わせてもらうと一番確実に情報が得られると思います。
3.「近距離対応」マイクのマルチトーカーネットワーク接続の流れ
「近距離対応」マイクをマルチトーカーネットワークに接続する流れを説明します。
同じ機種で接続する場合
- 使用するマイク・受信機の電源を入れる。
- どちらか任意の1台を親機にする。
- 親機のペアリングボタンを操作し、もう1台のマイクと受信機を10cm以内に近づけて順に接続する。
- マルチトーカーネットワークを切断する場合には、親機の接続ボタンを7秒以上長押しし、全ての接続をリセットする。

別の機種で接続する場合
ここでは、ロジャー セレクト(左)とロジャー テーブルマイク(右)を例に説明します。
- 使用するマイク・受信機の電源を入れる。
- ロジャー セレクトのペアリングボタンを操作し、ロジャー テーブルマイクと受信機を10cm以内に近づけて順に接続する。
- マルチトーカーネットワークを切断する場合には、親機の接続ボタンを7秒以上長押しし、全ての接続をリセットする。
※ロジャー セレクトには2つの接続ボタンがあります。1つはタブレット等とのBluetooth接続ボタンになりますので、操作時にはご留意ください。

受信機が複数台ある場合の接続の流れ
- 使用するマイク・受信機の電源を入れる。
- 親機にするロジャーマイクのペアリングボタンを操作し、子機として使用するロジャーマイクを10cm以内に近づけてペアリングをする。
- 親機にするロジャーマイクのペリングボタンを操作し、受信機(マイリンク・ネックループ・オーディオシュー)を10cm以内に近づけて順に接続をする。
- マルチトーカーネットワークを切断する場合には、親機の接続ボタンを7秒以上長押しし、全ての接続をリセットする。

4.マルチトーカーネットワークの活用例
マルチトーカーネットワークで接続したマイクを利用する際には、1台だけで利用していた時とは集音切り替わりに違いがあります。事前に学生さんを交えてテストを行い、どのように活用してもらいたいか、を周囲の人に伝えられるようにしておくほうが良いでしょう。
活用方法と利用時のポイントを以下のサイトでまとめていますので、活用時の参考にしてください。
ロジャー「近距離対応」マイク マルチトーカーネットワークの活用方法