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2026.04.14

語学授業の支援① 支援の検討の流れとポイント

 「語学の授業」と一口に言っても、授業で扱う言語や、授業の進め方、授業の到達目標、評価の方法はさまざまです。また、聴覚障害学生本人は、その言語をどのように学びどのように授業に参加したいと考えているか、本人の意向によっても必要な支援が変わってきます。ここでは、支援方法を検討する際の流れとポイントを解説します。

ポイント1 学び方や授業への参加方法について学生の意向を確認する

聴覚障害学生の状況や要望によって、必要な支援が変わってきます。聴覚障害学生にとって、大学に入学するまでにどのように語学(主に英語)に取りくんできたかという背景はさまざまで、大学でどのように学びたいと考えているか、今後どのように英語や外国語を使っていくかといったビジョンも一人ひとり異なります。

たとえば、「英語の読み書きをしっかり学びたいが発音や聞き取りは難しい。」「英語の発音は苦手だがプレゼンテーションや会話練習にも参加したい。」など英語の学びへの要望や不安をもっている学生もいるでしょう。「何らかの情報保障を利用してできるだけ他の学生と一緒に授業を受けたい。」という意向の学生には、授業の進め方や内容を説明した上で、支援の方法を講じていくことが大切になります。また、軽度の難聴で普段の授業では特に合理的配慮を申請していない学生で、「英会話の力を磨きたいが、英語の場合は日本語と違ってどうしても聞き分けが難しい音があるので授業についていけるか不安だ。」といった思いを抱える学生もいるかもしれません。聴力の程度が同じくらいの学生であっても意向や必要とする支援が全く同じとは限りません。ぜひ、聴覚障害学生本人の意向をしっかりと聞き取ってください。

ポイント2 クラスの変更や調整を行う

学生の要望や状況を把握した上で、授業担当教員との調整を行います。外国語科目の取りまとめ役の教員がいる場合には、まずその担当教員と調整するのがよいでしょう。
大学によって事情や状況はさまざまですが、調整の例としては以下のようなことが挙げられます。まずは聴覚障害学生の状況やニーズに応じて、履修する授業の選択肢を整理します。

  • 聴覚障害学生へ配慮した授業経験のある教員が担当する授業が受けられるよう調整する
  • 学生の状況を把握したり配慮の内容や方法をこまめに調整しやすくするため、可能であれば非常勤講師ではなく、専任教員が担当する授業が受けられるような調整をする
  • クラスによって進度や難度に違いがある場合には、比較的余裕を持った進度で進めるクラスや、少人数のクラスを選択できるように調整する
  • 学生が、発話や聞き取りに困難がある場合、スピーキングやリスニングによって評価する授業をライティング・リーディングを中心とするクラスに振り替える

ポイント3 授業中に話される言語を確認する

履修する授業が概ね決定したら、その授業の具体的な内容について確認していきます。たとえば以下のようなケースが考えられます。

  • 授業担当教員が外国語で原文を読み上げることがあるが、解説や指示などは日本語で話すなど、両方の言語が話される授業
  • 外国語のテキストに沿って授業を行うが、外国語そのものを話したり読み上げたりする機会は少なく、主に日本語での解説が中心となる授業
  • 授業担当教員が外国語のみで授業をおこない、日本語を使用しない授業

このように、語学の授業にもさまざまなケースがあり、話される言語によって適する情報保障の手段や必要な配慮の内容が変わってきます。詳しくは「授業で使用される言語(日本語/外国語)に応じた支援方法の例」のページをご覧ください。

ポイント4 授業の進め方を確認する

授業中に話される言語を確認することに加えて、授業の進め方や使用する教材がどのようなものかを確認します。特に支援方法を検討する際に把握しておきたいのは、以下のような進め方や教材使用をするかどうかという点です。

  • 学生同士がペアになって、外国語でコミュニケーションを取る(ペアワークをする)場面がある
  • 学生がグループになって、課題に取り組んだり外国語でディスカッションしたりする(グループワークをする)場面がある
  • 学生に発言を促したり、学生が順に設問に回答したりする場面がある
  • 学生が外国語で発表する(プレゼンテーションをする)場面がある
  • 外国語の映像を観たり、音源を再生して聴く場面がある

これらはいずれも、発言者が変わったり、双方向のやり取りが発生したりする場面です。このような授業に聴覚障害学生が参加するためには、場面に合わせた情報保障の方法が必要ですが、外国語で行われる場合は更に場面や状況に応じた細やかな対応が必要となります。授業のスタイルや聴覚障害学生の参加方法に応じて情報保障を行う場合については、「支援者の募集や配置のノウハウ」のページをご覧ください。

情報保障をつけるだけでなく、授業を担当する教員による配慮が円滑な授業参加につながります。詳しくは「授業担当教員による配慮」のページをご覧ください。

授業の中で映像教材を使用したり音源を流す場面については、「映像や音声を使用する場合」のページをご覧ください。

ポイント5 モニタリングを行い支援や配慮の内容を柔軟に変更する

このように、学期初めの時点で学生の状況や授業の状況を聞き取った上で合理的配慮の内容を決定したとしても、実際に授業が始まってみてわかることや、予定外の活動が加わること、想定していた支援や配慮では合わなかったり、別の工夫ができると気づいたりすることも考えられます。モニタリングの必要性はどの授業にも共通することですが、異なる言語を扱う語学授業については特に、最初に決めた方法で本当に授業参加が叶っているか確認し、支援方法の変更が必要な場合には柔軟に対応することが大切です。

個別の授業における支援については、個別相談も受け付けています。支援方法の決定や見直しに悩まれた際は、ぜひPEPNet-Japanの相談窓口もご利用ください。

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