長年の社会人経験から学び、働く自己像と自らの課題を具体化する。/研修⑤ロールモデルに学ぶ(2)

講師

  • 久松三二氏(全日本ろうあ連盟事務局長、民間企業経験者)
  • 日下部隆則氏(富士ゼロックス)

ロールモデルに学ぶ(1)よりも更に経験豊富な、会社で長く経験した方(50歳・60歳)のお話を聞くことで、会社で働く上での知恵などを学び、どのようにして「問題を解決してきたか」を先輩から学ぶことができた。
久松氏はかつて会社で特許に関わる仕事をしており、自身も改善案をたくさん出されたそうだが、通るのは100の内1つか2つだけだったそうだ。ただしそれをネガティブに捉えるのではなく、10や100の内1つか2つ通れば御の字ぐらいに考えていた方が前向きになれるとのアドバイスもいただいた。日下部氏は、社内の障害者の待遇改善に対しても色々動かれたそうだが、この時に重要なのは「運動」ではなく会社内なので「提案」という形で理解者を増やしながら伝えていくこととのことだった。会社を敵としてみなすのではなく、一緒に働く仲間として見て提案するという形は非常に参考になった。

久松氏
久松氏

参加学生の声

「社会に出た先輩からじかに話をお聞きするよい機会となった。社会に出る前の心構えができたように思う」
「普段から意識するべき事とは何か考えさせられた」
「聾の人生の大先輩からいい話聞けて良い参考になった。自分でも頑張れると実感した」
「日下部さんの生い立ちが自分と似ていたことが(大変個人的な理由ですが)気になった。一方で久松さんの生き方も日下部さん、自分自身と比較でき、非常に多様性(同じ聴覚障害者であっても違う生き方を選ぶということ)の感じられる場面であったと思う」

日下部氏
日下部氏

筆談で意見を交換し、世界を広げる。/交流②筆談飲み会

学生・教職員・講師が一堂に会し、交流を通して聴覚障害学生エンパワメント研修会の感想や意見を交換した。さらに、このうち10分間で「筆談飲み会」を行った。これは、「手話禁止、声禁止」というルールを設けた上で、ブギーボートや書きポンなどの筆談ツールによって会話をするものである。つい手話をしてしまう人もいたが、他の人が「手話禁止だよー」と書いてみせて笑いが起きるなど、和気あいあいと笑顔で書いたものを見せ合って話していた。特に手話がわからない教職員からは「すごく新鮮!」「また、周りの手話がわからず会話についていけなかったので、筆談してくれてほっとした。逆に聴者の中で音声による会話についていけず取り残される聴覚障害者の気持ちが理解できた」という声があり、印象的だった。

筆談飲み会の様子

参加学生の声

「様々な年齢層、職業の方と楽しくおしゃべりできてとても楽しかった」
「企画した筆談だけのやりとりは教職員にとっても一体感を感じ、お互いに知る機会になったと思う」

筆談飲み会の様子
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