聴覚障害学生のニーズを活かした支援体制作り 2.サポートに対する受けとめ方の変化

表 聴覚障害学生のサポートの受けとめ方の変化

一般的に、聴覚障害学生はどのようにサポートを受けとめ、どのような経過をたどっていくのでしょうか。
すべての聴覚障害学生が同じように感じ、受けとめているわけではありませんが、大きく以下の3段階に分けられ、ステップを踏んでいく点は共通していると考えられます。

聴覚障害学生のサポートの受けとめ方の変化

(1)消極的反応段階:支援を躊躇、拒否する段階

困り顔マーク

<無支援>
「支援がある」ということを知らない状態です

<支援認知>
「手話通訳」「パソコン通訳」等の支援手段があることを知ります。
しかし、高校まで一人で頑張ってきた聴覚障害学生には「人に助けてもらうほど自分は困っていない」「支援がなくてもやっていける」と思いがちです。また、「依頼してみようか、どうしようか」と迷っているうちに4年間が終わってしまう学生もいます。

(2)受動的依頼段階:受け身で支援を受ける段階

普通顔マーク

<支援依頼>
ようやく通訳の依頼に踏み切ります。ですが、ここでも「まわりに聴覚障害を知られたくない」「隅っこのほうで目立たないように」と葛藤を抱えることも少なくありません。

<支援利用>
はじめて通訳をつけてみると、多くが「授業ってこんなに面白かったのか!」と感激します。経験を重ねるにつれて「もっとたくさんの情報を伝えてほしい」と要求が高まりますが、実際にそれを口に出すまでには時間がかかることが多いでしょう。

(3)主体的活用段階:自ら積極的に支援を活用する段階

笑顔マーク

<要望提起>
これまで受け身だった支援に対して、自ら要望を出す時期です。情報保障の「依頼者」から「利用者」に転換していくときと言えるでしょう。それまで我慢を重ねたあまり、強い言い方で突きつける学生も見られます。

<支援活用>
通訳者や支援者との距離のとり方を身につけていきます。「この授業にはこの手段で」と判断したり、先生や友達に配慮してほしいことを具体的に伝えたり、タイミングを見て通訳者に声をかけたりできるようになっていきます。

講師:関東聴覚障害学生サポートセンター 吉川あゆみ氏(所属・肩書きは2006年度時点)

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