障害学生支援を取りまく社会についての情報集

■障害者差別解消法

2016年4月、障害学生の大学生活に大きな影響を与える法律が施行されました。それは「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」という法律で、障害のある人々への不当な差別を禁止するとともに、彼らの社会参加に当たって必要な配慮(以下、合理的配慮)の提供を求めるものです。2024年4月には改正法が施行され、合理的配慮の提供が、私立大学を含む事業者にも義務化されました。

 障害者差別解消法に関する情報はこちら

■不当な差別的取扱とは

不当な差別的取扱というのは、障害を理由に各種機会への参加やサービス提供を拒んだり、制限を付けたりすることを指します。法律では、大学やその他の機関に対して、こうした対応をすることを法的に禁止しています。

■合理的配慮とは

障害学生の多くは、いろいろな社会的障壁ゆえに、単にその場への参加を認められただけでは他学生と対等に参加することができない場合があります。こうした社会的障壁を取り除くためには、大学からの配慮や支援が必要です。これらの配慮は支援のことを、「合理的配慮」と言います。

参考:「合理的配慮の考え方と決定過程」(トピック別聴覚障害学生支援ガイド)
 

■法律の背景「障害者権利条約」

障害者差別解消法が制定された背景には、2006年12月に採択された国連「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」に関わる動きがあります。「Nothing About Us Without Us」というスローガンのもと、障害者差別を禁止し、機会の均等を図ることを求め進められた議論には、障害者自身が主体的に参画し、名実ともに障害者のための条約となるよう努力が重ねられてきました。
日本政府は2007年9月にこの条約に賛同を示す署名をして以来、批准に向けて国内法の整備する等の体制を整えてきました。

■障害の社会モデル

障害者権利条約を理解する上で非常に重要なのが「障害の社会モデル」という考え方です。
障害者が抱える「障害」というのは、障害者の中だけに存在するのではなく、実は障害者と社会の接点に生まれるものであって、その関係性如何によって変化するものと捉えることができます。
よく考えてみると、社会の側がとても大きな「障害」を抱えているといえるのかもしれず、そうであれば、その「障害(社会的障壁)」を取り除かなければいけません。その手段として合理的配慮があるといえるでしょう。

参考:TipSheet「聴覚障害の社会モデル」(トピック別聴覚障害学生支援ガイド) 

■文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告」

条約批准に向けた動きの中で、文部科学省は 2012 年、「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」を設置し、同年12月に「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)」を公開しました。検討会はその後、2016年度(障害者差別解消法施行直後)、2023年度(同改正法施行前)にも招集され、それぞれ報告がとりまとめられています。
なお、最新の第三次まとめ(2023年度)は、第一次・二次まとめを踏まえた内容になっています。新たに障害学生支援に取り組む大学等も、過去のまとめの内容も参照して、体制を構築していくことが期待されています。

参考:障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)平成24年度(2012)
   障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第二次まとめ)平成28年度(2016)
   障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)令和5年度(2023)

■聴覚障害学生支援の全国的状況

全国の大学等高等教育機関で学ぶ障害学生の状況については、日本学生支援支援機構が毎年実態調査をおこない、その結果を公開しています。

参考:「聴覚障害学生支援の全国的状況と大学に求められる取り組み」(トピック別聴覚障害学生支援ガイド)
   日本学生支援機構「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」
   

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