まず知ってほしい基礎知識 2.コミュニケーション

聴覚障害学生とコミュニケーションをとる際に用いることができる手段には、口話(こうわ)や筆談、手話などがあります。

口話というのは、口の形を読み取ったり、聞こえてくる音や表情、話の流れから相手の話していることを察知して話をする方法のことで、話をする側は口の形をはっきりあけ、ゆっくり話すなどの配慮が不可欠です。また、表情や身振りを用いたり、通じにくい部分には筆談や空間に文字を書く空書(くうしょ・そらがき)等を併用したりすると、より確実なコミュニケーションをとることができます。

ただ、口話によるコミュニケーションでは、どうしても不確実さが残ってしまうのも事実です。また、複数人の会話を同時に読み取ることはできないので、何人かの教職員とともに会話をしている場面では、ともすると聴覚障害学生のみがその場のコミュニケーションから置き去りにされがちです。そのため、手話を用いる学生に対しては教職員側も少しずつ手話を覚えて使ってみたり、積極的に筆談に応じるなど、聴覚障害学生側に歩み寄る姿勢も見せていきたいものです。

イラスト:手話の例

Q.すべての学生が手話を用いるワケではないのですか?

聴覚障害学生が用いているコミュニケーションの手段は、その学生が育ってきた背景によって大きく異なります。
学生の中には、「インテグレーション」といって普通の学校で聞こえる児童とともに学んできたケースも多く、この場合には大学に入るまで手話に触れる機会がなかったという例も多く見受けられます。また、「聾学校」の中でも、最近でこそ幼少期から手話を用いる例が増えてきましたが、基本的には口話による教育が主流で、中学校や高校段階になってはじめて本格的に手話を用いた授業を受けることが多いのが現在の状況です。

講師:筑波技術大学障害者高等教育教育研究支援センター准教授 白澤麻弓氏

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