支援者を体験!「ノートテイク・パソコンノートテイク」 実践例

本報告は、2013年にPEPNet-Japanが実施した「聴覚障害学生のエンパワメントモデル研修会」を元に作成しています。参考事例としてご覧ください。

役割

人数背景
司会・講師1名聴覚障害学生支援について精通し、手書きノートテイク・パソコンノートテイクの知識がある者が担当した。
アシスタント1名聴覚障害学生支援について精通し、手書きノートテイク・パソコンノートテイクの知識があるが担当した。プログラム中の機器操作のフォローを行い、トラブルに対応した。
受講生8名程度3・4名で構成されたグループ、計2グループが同時に受講した。

手書きノートテイクを体験!

手書きノートテイク体験では、はじめに手書きノートテイクの簡単な説明を行い、次に、iPadに表示される字幕映像(講義をパソコンノートテイクで入力した表示画面を常に3行表示されるように編集したもの)を見ながら、同時にルーズリーフに手書きでノートテイクする方法で体験した。普段書いてもらう立場の学生たちは、初めて書く側にまわり、四苦八苦しながら懸命にルーズリーフに書き取っていた。多くの学生にとって講師の話す速さは想像以上だったようで、日頃の支援学生の苦労に気がついていた。

手書きノートテイクの様子

パソコンノートテイクを体験!

パソコンノートテイク体験では、パソコンノートテイク用ソフト「IPtalk」の仕組みに関するレクチャーを受けた後、一人で入力する「単独入力」を体験した。表示された字幕は手書きノートテイク時と同じものだが、今度は視線を上げるために、正面スクリーンに投影されたものを見ながら入力した。今回は手書きノートテイクよりは多くの情報を表示できたものの、思うように要約できなかったり、漢字変換でつまずき、つまずいている時間に打つべき内容がスクリーンから消えて焦ってしまったりという様子が見られた。

単独入力の経験をしたのち、2人一組で協力して文章を入力する「連係入力」を体験した。連係入力では、まずペアでチャットをすることで、相手の入力を受けて自分が打つことに慣れ、続いて講義の入力を行った。初めて連係入力を体験した学生の多くは、入力の交代のタイミングなど、二人で一つの文章を完成させることに難しさを覚えたようだった。

パソコンノートテイクの様子

まとめ

本プログラムは、聴覚障害学生が主体的に情報保障技術を活用するために必要な、文字情報保障の技術の基礎を学び、聴覚障害学生が可能な形で体験も実施した。参加学生の中には、普段手書きのノートテイクのみで支援を受けている学生もおり、「大学では手書きノートテイクしか受けたことがなかったので、今回パソコンノートテイクについて知ることができた」との声が聞かれた。今回、手書きノートテイクとパソコンノートテイクの両方の方法やシステムを知ったことで、学生たちは今後支援を受けるときに、現状の支援に対してどのような改善が加えられるか考えることができるようになったと思われる。

さらに、「実際にノートテイクをやってみて、テイカーさんのすごさ、大変さを知った」「支援する立場になってみると、難しいことが理解できた。これからも、お互いに気持ち良くテイクができるようにしたい」等の声も聞かれた。支援学生とより良い関係でいるためのコミュニケーションの側面にも、貴重な気付きを得られたようである。

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