学んでみよう「補聴システム」
情報保障手段の中には、聴覚を活用する方法も存在します。特に補聴器は、日常的に使用している学生がほとんどでありながら、その仕組みや機能、トラブルへの対応方法を知らない学生も多く、正しい知識の習得が求められます。また、音に対する理解も重要で、同じ聴覚障害のある学生同士で個々の聞こえ方や音に対する認識を話すことで、自分自身のきこえに関する理解につながります。さらに、親元を離れて生活をする際には、トラブル時に対応可能な補聴器店の情報や、活用可能な福祉制度についての知識も必要になるでしょう。
本研修では、こうした補聴システムについての学習をすることで、自分のきこえの状態をよりよく理解するとともに、個々の状態にあわせた補聴システムの活用を目指します。
◎ねらい
- 補聴器や補聴システムについての基本的な知識を得るとともに、トラブル時の対応や活用可能な福祉制度等について学習する。
- 聴覚障害のある学生同士で聴覚障害の程度やきこえの状態について話をすることで、自分自身のきこえについてより認識を深める。
- 自らのきこえの状態に適した補聴器や補聴システムについて知識、情報を得る。
◎時間
30分
◎役割及び人数
役割 | 人数 | 留意点 |
---|---|---|
講師 | 1名 | チェックリストに沿って学生から意見・体験を引き出したり、補聴器に関する解説を行う。 補聴器をはじめとする補聴システムや補聴器フィッティングの知識がある専門家が望ましい。 |
受講者 | 5名 |
◎方法
詳細は指導計画を参照
- 講師は、スライドを用いて参加者全体にこれから何を行うのかを伝える。
- 「補聴器マイスターチェック」の10項目を用いて、自らの補聴器に関する知識を確認し、どのぐらいの理解ができているか自己診断を行う。
- それぞれの項目に関する回答を行いながら、以下の項目について解説する。
・補聴器の仕組み
・補聴器メーカーに関する情報
・補聴器用電池に関する知識
・補聴器の管理に関する知識
・補聴器の機能についての知識
・きこえに関する情報
・故障時の対応
・補聴器店の選び方に関する情報
・福祉制度に関する知識
◎留意事項
- 補聴器の活用については、さまざまな考え方があり、学生の中には補聴器の使用自体に強い抵抗を持っているものもいるため、一方的な考え方を押しつけないよう留意する。
- どのようなきこえの状態であっても、補聴器や聴覚に関する知識を持っておくことは大切であることを伝える。
- 補聴器について知識のある学生がいた場合には、そうした学生からの話を引き出し、学生同士の情報交換につなげる。
- 講師としては、補聴システムや補聴器フィッティングの知識がある専門家の他、自ら補聴器を活用している聴覚障害成人などにお願いしたい。
指導計画
実際の研修会で利用できる指導計画案を掲載しています。ご自身の大学の状況に合わせて、適宜アレンジしてご利用下さい。
教室配置
留意事項
参加者の席は、お互いの発言が見やすいように、扇型に配置する。
情報保障
手話通訳やパソコンノートテイクは配置せず、講師が受講者と直接コミュニケーションを取りながら進行する。必要に応じて板書や筆談等を交え、確実に情報が伝わるよう留意する。
進行・展開
- 自己紹介・主旨説明(2分)
スライドを用いて、参加者全体に研修の流れを伝える。 - 補聴器マイスターチェック項目の実施(3分)
補聴器に関する知識を問う項目に回答しながら、自分がどの程度の知識を持っているか自己診断を行う。 - 解説及び意見交換(25分)
・チェック項目の回答を確認しながら、それぞれのポイントについて解説を行う。
・学生の回答を聞きながら、知識や情報のある学生から話を引き出し、学生同士の情報交換につなげる。
・説明を行うポイントは以下の通り。
〇補聴器の仕組み
〇体験入力で入力された文章を見て、見やすい表示方法や文章入力について考える。
・入力された文字を見て、互いに感想を述べ合う。 - モバイル型遠隔情報保障の概要説明(10分)
・遠隔情報保障支援の仕組みと課題を説明する。
・パソコンノートテイクによって入力された文字が、離れた場所にあるモバイル端末に表示される様子をデモンストレーションによって体験する。
・こうした技術を活用できるとしたら、どんな場面で使ってみたいか?を話し合う。
指導教材資料
- パワーポイント資料
- ワークシート(情報収集シート)
指導教材
実際の研修会などで使用可能な教材を掲載しています。ダウンロードの上ご使用ください。
プレゼンテーション資料
説明時に講師が用いたスライドの例
補聴器マイスター診断
補聴器についての知識を問うための診断。印刷の上、参加者全員に配布。
補聴器マイスター診断結果
診断結果と解説。終了後、参加者全員に配布。
※本教材の著作権はPEPNet-Japanに帰属しています。研修会等で編集の上ご利用いただくことは可能ですが、クレジット表記などは変更しないようお願いします。
※教材を使用される場合には、必ずこちらの「教材の使用方法」をお読みの上、注意に従ってご利用ください。
実際の研修会などで使用可能な教材を掲載しています。ダウンロードの上ご使用ください。