第2回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム
11月18日、日本福祉大学名古屋キャンパスにて第2回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、PEPNet-Japanが毎年1回開催しているもので、我々の活動の成果を全国の高等教育機関に向けて発信するとともに、より充実した聴覚障害学生支援を求めて議論を行うものです。
2回目となった今年は、聴覚障害学生の支援に携わる大学教職員や聴覚障害当事者を中心に、約170名の参加があり、昨年にも増して活気あふれる議論が繰り広げられました。特に、アメリカからのゲストを交えた対談では、アメリカ北東部の聴覚障害学生支援ネットワーク(NETAC)の取り組みをもとに、今後我が国で求められる支援体制のあり方について考えさせられました。また、引き続き行われたパネルディスカッションでは、聴覚障害学生支援コーディネーターの立場と業務の内容について、将来的に目指すべき方向を含めて議論を重ねることができたのではないかと思います。
また、記念すべき第2回目の大会を、全国の大学に先駆けて障害学生を受け入れ、支援を続けてきた日本福祉大学を会場として開催できたことも、我々としては大きな喜びです。本大会の開催にあたって多大なる支援をいただいた日本福祉大学の皆様、講師等の派遣をいただいた連携大学・機関の皆様、そして参加してくださったすべての皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2006年11月吉日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局
開催要項
期 日: 2006年11月18日(土) 10:00~17:00
会 場: 日本福祉大学 名古屋キャンパス
参加費: 無 料
主 催: 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
実行委員長: 大泉溥(日本福祉大学)
実行委員:
水野暁子・藤井克美(日本福祉大学)、金澤貴之(群馬大学)、松崎丈(宮城県・仙台市聴覚障害学生情報保障支援センター)、根本匡文・長南浩人・三好茂樹・河野純大・白澤麻弓(筑波技術大学)、中島亜紀子・萩原彩子(PEPNet-Japan事務局)
協 力:
倉谷慶子・吉川あゆみ(関東聴覚障害学生サポートセンター)、広瀬洋子・大倉孝昭(メディア教育開発センター)、伊藤聡知・中津真美(東京大学)、太田晴康・齋藤剛(静岡福祉大学)、都築繁幸・岩田吉生(愛知教育大学)、百合野正博・土橋恵美子(同志社大学)、志水康雄・吉原正治(広島大学)、高橋信雄・原田美藤(愛媛大学)、太田富雄(福岡教育大学)
プログラム
<第1部>10:00~12:00
基礎講座 ゼロから始める聴覚障害学生支援体制作り
- 司会:松崎丈氏(宮城県・仙台市聴覚障害学生情報保障支援センター)
- 講師:土橋恵美子氏(同志社大学学生支援センター)倉谷慶子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)
分科会1 質的・量的充足をめざした情報保障者養成
- 司会:太田富雄氏(福岡教育大学)
- 話題提供:太田晴康氏(静岡福祉大学)岡田孝和氏(早稲田大学障がい学生支援室)
分科会2 聴覚障害学生とともに考える情報保障
- 司会:藤井克美氏(日本福祉大学)
- 話題提供:渡辺崇史氏(日本福祉大学)岩田吉生氏(愛知教育大学)聴覚障害学生代表(日本福祉大学)サポート学生代表(日本福祉大学)
<第2部> 13:00~17:00
開会式
事業報告
対談企画「NETACサイトコーディネーターに学ぶ聴覚障害学生支援」
パネルディスカッション「聴覚障害学生支援におけるコーディネーターの役割~さらなる支援体制充実のために~」
- 司会:金澤貴之氏(群馬大学)
- パネリスト:塩見渉氏(日本学生支援機構)二階堂祐子氏(立命館大学障害学生支援室)松崎丈氏(宮城県・仙台市聴覚障害学生情報保障支援センター)
当日の様子
【基礎講座】
聴覚障害学生への支援をはじめてまもない大学職員を対象として、開催された基礎講座の様子。後半はグループに分かれ参加者同士の情報交換を行った。
【分科会】
分科会(1)では現在主流となっている手書きノートテイクの次に検討していくべき課題について、分科会(2)では教員の配慮のあり方と聴覚障害学生の想いについて取り上げた。
【資料展示】
会場には、PEPNet-Japan連携大学・機関を中心とする各大学の取り組みの様子がパネルで展示された。
【対 談】
アメリカ北東地区テクニカルアシスタントセンター(NETAC)にて他大学への支援を行っている2人のコーディネーターをお招きして詳しいお話を伺った。
【パネルディスカッション】
パネルディスカッションでは、聴覚障害学生支援コーディネーターに関する全国的状況や現在抱えている業務の内容、将来的に目指すべきコーディネーター像について話題提供をいただき、これに基づいて熱心な議論が行われた。
【閉会式】
聴覚障害学生支援にまつわる自らの体験を交え、閉会の挨拶を語られた大泉実行委員長。今回の大会を日本福祉大学で開催できたことに感激の意を表してくださった。
右は海外からのゲストと日英通訳者。奥には日本福祉大学の留学生にお手伝いいただいて実現した韓国語通訳も。左は壇上の話題提供者に向けて設置された情報保障モニタ(左から文字通訳、手話通訳、パワーポイントが表示されている)。