第3回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム
10月20日、筑波技術大学にて第3回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、PEPNet-Japanが毎年1回開催しているもので、我々の活動の成果をより多くの大学・機関に向けて発信するとともに、全国の高等教育機関における支援実践について情報交換をするものです。
今回は、聴覚障害学生の支援に携わる大学教職員や聴覚障害当事者を中心に、約180名の参加があり、活発な議論がなされました。アメリカからのゲストを交えた対談では、PEPNetの活動内容やPEPNetコーディネーターの役割について興味深いお話をうかがうことができました。また、パネルディスカッションでは、学内支援ネットワークのあり方について、熱い議論が繰り広げられました。
毎年盛況を重ねるこのシンポジウム開催にあたり、実行委員や講師等でご協力いただきました皆様、そして参加してくださいましたすべての皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2007年10月吉日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局
開催要項
期日 2007年10月20日(土) 10:00~17:00
会場 筑波技術大学 天久保キャンパス
参加費 無料
主催
- 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
- 国立大学法人 筑波技術大学
実行委員長 及川力(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター長)
実行委員
飯田恭市・石原保志・長南浩人・三好茂樹・河野純大・白澤麻弓・黒木速人・松井美奈子・中島亜紀子・萩原彩子・磯田恭子(筑波技術大学)・平尾智隆(愛媛大学)・松﨑丈(宮城教育大学)・清水里奈・岡田孝和・田中啓行(早稲田大学)・金澤貴之(群馬大学)・青野透(金沢大学)
協力
高橋明美(宮城県・仙台市聴覚障害学生情報保障支援センター)・倉谷慶子(関東聴覚障害学生サポートセンター)・廣瀬洋子(メディア教育開発センター)・齋藤剛(静岡福祉大学)・岩田吉生(愛知教育大学)・大泉溥(日本福祉大学)・西村卓(同志社大学)・吉原正治(広島大学)・高橋信雄(愛媛大学)・太田富雄(福岡教育大学)
プログラム
10:00~12:00 分科会
分科会1「一からはじめる学内の支援体制作り」
- 司会:愛媛大学 教育・学生支援機構 平尾智隆氏
- 話題提供:
「愛知教育大学における支援体制作り」愛知教育大学 教育学部 岩田吉生氏
「大学戦略から見た障害学生支援体制づくり-名城大学の事例-」
名城大学 田中芳則氏
分科会2「聴覚障害学生のニーズとエンパワメント」
- 司会:筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 石原保志
- 話題提供:
「聴覚障害学生が自分自身のニーズを発見するための支援」宮城教育大学 卒業生 鈴木桂子氏
「米国、特にRITにおける取り組みの紹介」ロチェスター工科大学 吉田稔氏
「米国・日本におけるエンパワメント支援の実態と課題について -米国のエンパワメント活動の調査から-」
元ロチェスター工科大学留学生 太田琢磨氏
分科会3「利用学生・情報保障者・教員の三者による情報保障の質的充実」
- 司会:早稲田大学 障がい学生支援室 田中啓行氏
- 話題提供:
「情報保障者の立場から」筑波大学 支援学生(人間学類心身障害学主専攻3年)
「亜細亜大学における講義保障の取り組み」亜細亜大学 聴覚障害学生
「教員からの要望、そこからもう一歩踏み出すには・・・」札幌学院大学 人文学部こども発達学科 新國三千代氏
12:00~13:30 ランチセッション(資料展示、テーマに基づく情報交換等)
13:30~17:00 対談「米国の支援現場に学ぶコーディネート・養成・情報保障」
- 司会:筑波技術大学 白澤麻弓
- ゲスト:
PEPNet-Northeast副ディレクター
Patricia A. Billies氏
PEPNet-Southディレクター
Marcia E. Kolvitz氏
パネルディスカッション「高等教育機関における学内支援ネットワークの構築~聴覚障害学生支援体制の強化をめざして~」
- 司会:金沢大学 大学教育開発・支援センター 青野透氏
- パネリスト:
「非常勤のコーディネーターの立場から」大阪大学障害学生支援室 松原崇氏
「支援を担当する事務職員の立場から」同志社大学学生支援センター京田辺校地学生支援課 長澤慶幸氏
「障害学生支援担当教員の立場から」群馬大学教育学部 金澤貴之氏 - 指定討論:Studio AYA 映像ドキュメンタリー作家 今村彩子氏
(DVD「ユニバーシティライフ~ろう・難聴学生の素顔~」監督
当日の様子
【分科会】
分科会1では、支援体制の構築や運営に関する話題提供やワークショップが行なわれた。また、分科会2では聴覚障害学生のエンパワメントを引き出す取り組みについて、分科会3では情報保障の質的充実に向け、それぞれ積極的に議論が展開された。
【ランチセッション】
今回初めての試みとして、参加者同士の交流や意見交換を目的としたランチセッションが行なわれた。
【対談】
PEPNetコーディネーターのお2人をお招きし、PEPNetの活動内容やPEPNetコーディネーターの役割について詳しいお話を伺った。
【パネルディスカッション】
パネルディスカッションでは、聴覚障害学生支援における人材のネットワーク作りとその活用に焦点をあて、興味深い話題提供とともに、活発な議論が行なわれた。