第14回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム

2018年10月28日に、早稲田大学(東京都新宿区)を会場として、「第14回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」を開催しました。また、前日10月27日には、前日特別企画としてワークショップ企画3テーマ、早稲田大学キャンパスツアー、学生交流企画を実施いたしました。
当日は全国の大学教職員・学生等476名(関係者含む)にご参加頂き、全体テーマである「対話」について、様々な視点で皆様と議論が重ねられました。
本シンポジウムの開催にあたり、企画コーディネーター、講師等、多くの方々にご協力頂きました。また、ご参加頂きました皆様にも厚く御礼申し上げます。

2018年11月14日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局

開催要項

日時

2018年10月28日(日)9:30~16:00
※10月27日(土)には、前日特別企画として早稲田大学キャンパスツアーおよび少人数のワークショップ、学生交流企画を実施しました。

会場

早稲田大学 早稲田キャンパス 国際会議場

スケジュール

《10月28日(日)》
9:30~12:00
■聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト
教職員による聴覚障害学生支援実践発表
ショートセミナー
(1)基礎講座
企画担当:山本篤氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)
講師:太田琢磨氏(愛媛大学)
(2)情報保障支援者の養成に関する先駆的な取り組み紹介
講師:斉藤くるみ氏(日本社会事業大学)
(3)聴覚障害学生が輝く大学教育
企画担当・講師:筑波技術大学教員
・パネル展示、関連団体活動紹介

13:30~16:00 全体会
■全体会企画「『対話』がみちびく質の高い支援―聴覚障害学生支援のスタンダードを探る―」
企画担当:田中啓行氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)中津真美氏(東京大学)
司会:中津真美氏
講師:吉川あゆみ氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)、田中啓行氏、藤島省太氏(宮城教育大学)

聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト表彰式

《前日特別企画》

2018年10月27日(土)
13:00~16:00 前日特別企画ワークショップ

会場 早稲田奉仕園 セミナーハウス

内容 

当事者研究をやってみよう!

講師 松﨑 丈氏(宮城教育大学)、綾屋紗月氏(東京大学)
対象 聴覚障害学生

■作ろう支援の大三角 ―みんなの視点を対話でつなぐ―

講師
杉中拓央氏(小田原短期大学)、志磨村早紀氏(早稲田大学障がい学生支援室) 、
黒田 泰氏(早稲田大学障がい学生支援室) 、 秋元麻氏(元支援学生) 、 川口雅史氏(元支援学生・会社員)

■体制整備のその先にある課題とは?

講師 金澤貴之氏(群馬大学) 、 白澤麻弓(筑波技術大学)

13:30~16:30 早稲田大学キャンパスツアー

17:30~ 学生交流企画

参加費 無料

主催

  • 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
  • 国立大学法人 筑波技術大学

共催 早稲田大学

協力

  • 東京大学バリアフリー支援室
  • 日本社会事業大学
  • 関東聴覚障害学生サポートセンター

後援

文部科学省/独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)/東京大学 障害と高等教育に関するプラットフォーム形成事業(PHED)/京都大学 高等教育アクセシビリティプラットフォーム(HEAP)

大会長 大越教夫(筑波技術大学)
実行委員長 佐藤正幸(筑波技術大学)
事務局長 白澤麻弓(筑波技術大学)
幹事 磯田恭子・中島亜紀子・萩原 彩子(筑波技術大学)

実行委員
三神弘子・大久保裕子・黒田 泰・志磨村早紀(早稲田大学)/杉中拓央(小田原短期大学/早稲田大学)/中津真美(東京大学)/斉藤くるみ(日本社会事業大学)/山本 篤・田中啓行(関東聴覚障害学生サポートセンター)/松﨑 丈(宮城教育大学)/金澤貴之(群馬大学)
石原保志・小暮聡子・三好茂樹・谷 貴幸・井上正之・河野純大・守屋誠太郎・石野麻衣子・吉田 未来・坂井 肇(筑波技術大学)

当日の様子

【セッション企画】

午前中には実践事例コンテストや教職員実践発表、ショートセミナー(3テーマ)や各種展示など複数の企画を並行して行うセッション企画を行いました。

■聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2018

全国の16大学・団体から応募を頂き、情報保障に関する創意工夫や、チームの力で運営する支援者養成や交流企画など、さまざまな取り組みについて発表されました。趣向を凝らしたポスターを作成したり、説明・発表の方法を工夫するなど、より多くの人に日々の取り組みについて知ってもらおうという熱気にあふれていました。
→『聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2018結果発表』のページはこちらか

コンテスト会場の様子
■教職員による聴覚障害学生支援実践発表2018

全国の9大学の教職員の方々にご応募頂き、日頃の聴覚障害学生支援実践についてご発表頂きました。教職員を対象とした企画のため、各大学での先進的な事例や新たな取り組みの紹介、さらには実践研究的な報告もあり、参加者との情報交換がじっくりと行われていました。

教職員実践発表の様子
■ショートセミナー

3つのテーマでのセミナーを実施しました。いずれの会場も熱気にあふれ、席が足りなくなるほどご参加を頂きました。

ショートセミナー1では、日本社会事業大学での実践について、「情報保障支援者の養成に関する先駆的な取り組み―当事者が支援者になること」をテーマに、ご講演頂きました。「当事者が支援すること」について学生時代の困難やこれまでの学び等の実体験を元にお話を頂き、聴覚障害当事者が支援者となることの意義を再確認できる機会となりました。

ショートセミナー1の様子

ショートセミナー2では、「基礎講座 建設的対話から始まる障害学生支援―合理的配慮の基本とは?―」をテーマに、山本篤氏(関東聴覚障害学生サポートセンタ-)司会のもと、太田琢磨氏(愛媛大学 バリアフリー推進室)よりご講演を頂きました。大学入学前後の初回面談でのポイントから、合理的配慮決定のための建設的対話のあり方についてまで、障害学生支援を始められたばかりの方にとっても分かりやすい内容でお話を頂きました。

ショートセミナー2基礎講座の様子

ショートセミナー3は、「聴覚障害学生が輝く大学教育―筑波技術大学産業技術学部の取り組み―」をテーマに、主催校である筑波技術大学の教員4名(谷貴幸氏・井上正之氏・山脇博紀氏・守屋誠太郎氏)から筑波技術大学での様々な取り組みについてご紹介頂きました。特別支援学校との高大連携の取り組み・アクティブラーニングの実践事例・つくば市との連携事業であるUD(ユニバーサルデザイン)研修・専攻内での学年を超えたグループ学習の実践・体験授業と、筑波技術大学ならではの聴覚障害学生が主体となる学びのあり方について様々な情報をお届けしました。

筑波技術大学企画の様子
■関連団体活動紹介

大学間・関連機関間のネットワークの形成・活性化に寄与することを目的として、活動紹介(展示)を実施し、8団体にご協力をいただきました。参加者へのご対応のみならず、大学と聴覚障害者支援・情報保障支援に関わる各種団体が、相互に活動の様子を知り交流を深められる機会となりました。

関連団体活動紹介 会場内の様子
■筑波技術大学 機器展示・活動紹介

筑波技術大学の教員・大学院生による研究や活動について10テーマの紹介を実施しました。筑波技術大学での様々な取り組み紹介の他、最先端の研究に基づく情報保障支援ツールに触れることのできる場として、会場は大変賑わいました。

展示スペースではこのほかに、PEPNet-Japan活動紹介として正会員大学・機関紹介パネルや、PEPNet-Japan成果物の展示などを行い、多くの方が足を止めてご覧になっていました。

筑波技術大学 活動紹介の様子

【全体会】

全体会はPEPNet-Japan事務局長である白澤麻弓の司会進行により進められました。最初に日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク代表及び筑波技術大学長で、シンポジウム大会長を務めた大越教夫より開会の挨拶を行い、ご来賓としてご列席頂いた文部科学省高等教育局学生・留学生課の金井学厚生係長からのご挨拶を頂きました。続いて共催校である早稲田大学スチューデントダイバーシティセンターの三神弘子センター長よりご挨拶を頂きました。

全体会 開会行事の様子
■全体会企画

 「『対話』がみちびく質の高い支援―聴覚障害学生支援のスタンダードを探る―」をテーマに、映像を用いて具体的な対話例を示しながら聴覚障害学生と教職員の「対話」のあり方について議論を行いました。まず3名の講師から、コーディネーター、聴覚障害当事者、教員それぞれの視点に立って、対話例の映像についてポイントが解説されました。その後、支援学生と意見を交わしやすい文化を創っていくこと、大学側が聴覚障害学生に寄り添い、納得感の得られる対話の進め方が大切であることなど、示唆に富んだディスカッションが行われました。
企画を通し、対話を基盤として実行される支援こそがこれからの支援のスタンダードである、ということが改めて確認された貴重な時間となりました。

 全体会の最後には、本シンポジウム実行委員長を務めた筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター佐藤正幸センター長の「来年も元気でお会いしましょう」という挨拶で幕を閉じました。

全体会の様子

また、シンポジウムに先駆けて10月27日(土)には、前日特別企画を実施しました。各企画の概要を報告します。

【ワークショップ】

■「当事者研究をやってみよう!」

聴覚障害学生が、自身の抱える困りごとについて言語化することを通し、問題点の整理と解決策の検討を行いました。

ワークショップ1の様子
■「作ろう支援の大三角―みんなの視点を支援でつなぐ

聴覚障害学生・支援学生・教職員の混合グループの中で、事例検討を通じてお互いの見ている世界の違いを理解し、より良い支援を考えるきっかけとなるよう企画を実施しました。

ワークショップ2の様子
■「体制整備のその先にある課題とは?」

障害学生支援の体制が発展してもなお、解決が難しく残される支援上の課題について、参加者から事前に寄せられたアンケートをもとに整理するとともに、今後の支援のあり方についてディスカッションを深めました。

ワークショップ3の様子
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