本報告は、2013年にPEPNet-Japanが実施した「聴覚障害学生のエンパワメントモデル研修会」の実践報告を元に作成しています。参考事例としてご覧ください。

役割

人数背景
ファシリテーター2名聴覚障害当事者。1名は大学教員であり、日頃から聴覚障害学生を指導している。もう1名は企業での就労経験を有する。2名とも事前にコーチングの手法の指導を受けている。
アシスタント3名聴覚障害当事者。各グループのブラザー・シスターとして、聴覚障害学生を見守ってきた。

講演内容

講師は、地域のろうあ者相談員として働く傍ら、札幌の聴覚障害者団体の理事も務めている。ご自身はかつて北海道内の大学に入学したが、当初情報保障はなく、自ら学内体制を確立した経験を持っている。その時に様々な人や団体とつながり、相談し、自ら動いた経験から、地域のリソース(社会的資源)に臆せず飛び込んで行くことの大切さをお話いただいた。 (詳細は、本企画での講演内容を再構成した「聴覚障害学生のエンパワメント事例集 先輩達へのインタビュー 福島太郎氏」を参考にされたい)

講演を聞く学生の様子

質疑応答

講演後、短時間ではあったが質疑応答が行われた。学生からは、
「実習にノートテイクを付けたいが、人材の問題、金銭的な問題があり、実現できていない。これらの問題は一人では解決できず、困っている。どのように情報を集めればよいか」という質問がなされた。福島氏は、他の大学の聴覚障害学生で、実習に情報保障をつけている学生に相談してみると良いのではないかとアドバイスした。

まとめ

本講演は、企画段階の実行委員会で、地域の聴覚障害をもつ先輩とつながる機会を作りたい、どのような社会資源があるのかを学んでほしいという声があがり実現したものだった。聴覚障害者にとって、地域のリソースを知り、アクセスし、積極的に活用することは、在学中にも社会に出てからも大切なことである。それは、福島氏の講演にもあるように、何か悩みや課題が出てきたときに、他者に相談したり情報を求めたりすることが解決の突破口になりうるからである。大学外での交流の少ない聴覚障害学生にとっては、今回の講演で初めて聞く団体、機関も多かったのではないだろうか。今後、学生たちが必要な時に地域の社会資源を思い出し、主体的に活用し、より豊かな学生生活、社会人生活を送ってくれることを期待したい。

講師と学生のやりとりの様子

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