第4回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム

2008年10月26日に、キャンパスプラザ京都にて日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムは、PEPNet-Japanが毎年1回開催しているもので、我々の活動の成果をより多くの大学・機関に向けて発信するとともに、全国の高等教育機関における支援実践について情報交換をするものです。

写真:全体会の様子

第4回目となった今回は、聴覚障害学生支援に携わる大学教職員や聴覚障害当事者を中心に、総勢260名近い方々にご参加頂きました。この中では特に、現在多くの課題が持ち上がっている医学・薬学・理工学系での支援についてをテーマとしたパネルディスカッションを開催し、高等教育における情報保障の新たな可能性について熱い議論が繰り広げられました。また、特別企画として京都の4つの大学にご協力頂き、支援室見学ツアーを実施しました。

毎年盛況を重ねるこのシンポジウム開催にあたり、実行委員や講師等でご協力いただきました皆様、そしてご参加頂いたすべての皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

写真:全体会での大沼先生

2009年3月吉日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局

開催要項

  • 期日  2008年10月26日(日) 10:00~17:00
  • 会場  キャンパスプラザ京都

プログラム

10:00~12:00 分科会(以下の3つから1つを選択)

 分科会1「学内支援体制の充実と教員の行動原理」

  • 司会:平尾智隆氏(愛媛大学 教育・学生支援機構 学生支援センター)
  • 講師:長南浩人(筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター)

 分科会2「聴覚障害学生支援における大学等連携の展望・関西地区の取り組みから・」

  • 司会:青野透氏(金沢大学 大学教育開発・支援センター)
  • 講師:山口洋典氏(同志社大学 大学院総合政策科学研究科)西原泰子氏(京都市要約筆記サークルかたつむり)桐澤夏樹氏(京都市福祉ボランティアセンター)
  • 指定発言:石田久之(筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター)

 分科会3「卒業後を見据えた聴覚障害学生のエンパワメント」

  • 司会:太田琢磨氏(東海大学研究員)石原保志(筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター)
  • 講師:山田倫子氏(民間企業勤務/筑波技術短期大学卒業生)日下部隆則氏(情報産業系民間企業勤務/同志社大学 大学院総合政策科学研究科社会人学生)

12:00~13:30 ランチセッション

 聴覚障害学生支援に関する実践実例コンテスト2008 

13:30~17:00 全体会

 分科会報告

 コンテスト結果発表

 パネルディスカッション
「情報保障の新たな可能性を探る~医学・薬学・理工学系での取り組みから~」

  • 司会:松﨑丈氏(宮城教育大学 特別支援教育講座)
  • パネリスト:
    垰田和史氏(滋賀医科大学 社会医学講座衛生学部門)
    伊藤芳久氏(日本大学 薬学部医療薬学系医療薬学教育・研究部門薬理学ユニット)
    中野聡子氏(東京大学 先端科学技術研究センター)

指定討論:白澤麻弓(筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター)

参加費 無料

主催

  • 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
  • 国立大学法人 筑波技術大学

協力

  • 同志社大学 学生支援センター
  • 立命館大学 障害学生支援室

後援

  • 独立行政法人 日本学生支援機構
  • 財団法人 大学コンソーシアム京都

大会委員長 西村卓(同志社大学学生支援センター所長)

実行委員
 及川力・柴正彦・石原保志・長南浩人・三好茂樹・河野純大・白澤麻弓・黒木速人・
 松井美奈子・中島亜紀子・萩原彩子・磯田恭子(筑波技術大学)
 桂良彦・長澤慶幸(同志社大学学生支援センター)
 冨田沙樹・二階堂祐子(立命館大学障害学生支援室)
 平尾智隆(愛媛大学)、青野透(金沢大学)、松﨑丈(宮城教育大学)
 太田琢磨(東海大学研究員)

当日の様子

【分科会】

【分科会1】

分科会1は「学内支援体制の充実と教員の行動原理」のテーマで、支援体制構築・充実の中で教員が果たす必要のある役割について明確にすることを目的に実施した。前半は筑波技術大学の長南浩人氏の講演、後半は参加者が相互に議論しあうグループワークの二部構成で行われた。
グループワークでは、支援体制の中での教員・職員・コーディネーターそれぞれの役割を確認するための「役割マップ」の作成を行なった。

写真:分科会1の様子
【分科会2】

分科会2は「聴覚障害学生支援における大学等連携の展望 ~関西地域の取り組みから~」をテーマに、京都における大学間連携の運動と組織化を主体となって進めてきた三名から、実践報告がなされた。支援者を対象とした内容であったことと、開催地京都に関するテーマとあって、多くの参加者が集まった。
支援に携わりたいと思う学生たちの主体性を尊重し、大学は学生たちが動きやすいよう支援することが重要である、と各報告者から述べられ、参加者も交えて活発な意見交換がなされた。

写真:分科会2の様子
【分科会3】

分科会3では「卒業後を見据えた聴覚障害学生のエンパワメント」について、聴覚障害者・企業・大学それぞれの立場から報告がなされ、大学在学中に身につけるべきスキル等を明らかにすることを目的とした。
大学においても企業でもコミュニケーションが最も重要な課題ではあるが、受け身で情報を待っている支援体制に慣れてしまっている・障害を隠したいと思っている学生へのエンパワメントは、など多くの意見が参加者から出された。

写真:分科会3の様子
【パネルディスカッション】

パネルディスカッションでは、現在の聴覚障害学生支援では萌芽的な領域とされている「医学系・薬学系・理工学系における情報アクセシビリティの体制」をどのような観点で構築していくのかをテーマとした。
これらの分野で高等職業専門人として社会的に信頼される人格を作り上げていくためには「確固たるコミュニケーション能力の形成・質的向上」が不可欠であり、聴覚障害学生支援においてもこれが根幹とされなければならない。彼らを真に支えることを高等教育における聴覚障害学生支援の根源的な問題として位置づけていく必要がある、との共通認識が見出された。

写真:パネルディスカッションの様子
【ランチセッション】

聴覚障害学生支援に関する実践実例コンテスト2008を実施
今年度より、新たな企画として「聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト」を行なった。大学教職員や聴覚障害学生・支援学生、支援技術の開発を行っている方など、色々な視点から聴覚障害学生支援を捉え、情報交換を行える機会となった。

写真:コンテスト表彰の様子
写真:コンテストのトロフィー

『聴覚障害学生支援に関する実践実例コンテスト2008』のページへ

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