第6回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム

先日11月14日に、仙台市情報・産業プラザ ネ!ットUにて日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムは、PEPNet-Japanが毎年1回開催しているもので、我々の活動の成果をより多くの大学・機関に向けて発信するとともに、全国の高等教育機関における支援実践について情報交換をするものです。

写真:全体会の様子

第6回となった本シンポジウムは、聴覚障害学生支援に携わる大学教職員や聴覚障害当事者を中心に、総勢300名近い方々にご参加頂きました。今回は、午前中に4つの分科会を行い、午後の全体会では、2つの企画を行いました。特別企画「徹底解剖!PEPNet-Japan―あなたのギモンに答えます―」では、PEPNet-Japanのこれまでの取り組みや組織について解説するとともに、聴覚障害学生支援の専門家から支援に関する質問に回答頂きました。特別対談「宮城教育大学学長と語る-大学教育と障害学生支援-」では、大学組織のトップとして障害学生支援をどのように捉えているのか、また今後の障害学生支援にはどのような方策が必要になるのかなど、貴重なお話を頂きました。

写真:開会式の様子

毎年盛況を重ねるこのシンポジウム開催にあたり、実行委員や講師等でご協力いただきました皆様、そしてご参加頂いたすべての皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

2010年12月吉日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局

開催要項

  • 日時 2010年11月14日(日) 10:00~17:00
  • 会場 仙台市情報・産業プラザ ネッ!トU

プログラム

10:00~12:00 分科会

 ■分科会1:基礎講座「どうする?どうなる?―受験・入学・授業―」

  • 司会:岩田吉生氏(愛知教育大学)
  • 話題提供:北林かや氏(東京大学バリアフリー支援室)
  • アドバイザー:石原保志(筑波技術大学)鈴木牧子氏(筑波大学附属聴覚特別支援学校)橋本一郎氏(東京都立中央ろう学校)

 ■分科会2:「詳解(しょうかい)!宮城教育大学―理念から日々の取り組みまで―」

  • 司会:萩原彩子(筑波技術大学)
  • 講師:松﨑丈氏(宮城教育大学特別支援教育講座)前原明日香氏(宮城教育大学しょうがい学生支援室)
  • アシスタント:立田真由子氏・東條桂子氏(宮城教育大学卒業生)佐藤晴菜氏(宮城教育大学支援学生)

 ■分科会3:「一緒にスキルアップ!―ノートテイク・パソコンノートテイク・手話通訳―」

  • 司会:田中啓行氏(早稲田大学障がい学生支援室)
  • アドバイザー:
    (ノートテイク)瀬戸今日子氏(名古屋大学)原田美藤氏(愛媛大学)
    (パソコンノートテイク)岡田孝和氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)能美由希子氏(大学院生)
    (手話通訳)吉川あゆみ氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)棚田茂氏(埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園)

 ■分科会4:「みんなで解決!現場の悩み―先輩・コーディネーターとともに考える―」

  • 司会:高橋明美氏(みやぎDSC)
  • アドバイザー:
    河野恵美氏(立命館大学障害学生支援室)
    管野奈津美氏・福田夕香氏(卒業生/聴覚障害学生)
    白江香澄氏・宇治川雄大氏(卒業生/支援学生)

12:00~14:00 ランチセッション

 ■聴覚障害学生支援に関する実践実例コンテスト

 ■聴覚障害学生支援に関する機器展示

 ■東北地区における聴覚障害学生支援の活動紹介

 ■PEPNet-Japan連携大学機関活動紹介

14:00~17:00 全体会

 ■特別企画「徹底解剖!PEPNet-Japan―あなたのギモンに答えます―」

  • 司会:菅井裕行氏(宮城教育大学特別支援教育講座)・及川麻衣子氏(宮城教育大学しょうがい学生支援室)

 ■特別対談「宮城教育大学学長と語る―大学教育と障害学生支援―」

  • ゲスト:宮城教育大学 学長 高橋孝助氏・教授 藤島省太氏
  • 司会:中野聡子氏(東京大学先端科学技術研究センター)

 ■聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2010 結果発表

閉会式

参加費  無料

主催

  • 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
  • 国立大学法人 筑波技術大学

共催 国立大学法人 宮城教育大学

協力 みやぎDSC

後援
文部科学省/独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)
河北新報社/朝日新聞仙台総局/読売新聞東北総局/毎日新聞仙台支局/NHK仙台放送局/仙台放送/ミヤギテレビ

大会長 高橋孝助(宮城教育大学学長)

実行委員長 及川力(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター長)

実行委員
藤島省太・菅井裕行・松﨑丈・芳賀茂・村田哲彦・前原明日香・及川麻衣子・武山美恵子・横澤哲美(宮城教育大学)
高橋明美・田宮悠(みやぎDSC)
石原保志・小林正幸・中嶋靖雄・三好茂樹・河野純大・長南浩人・白澤麻弓・蓮池通子・萩原彩子・磯田恭子・中島亜紀子・石野麻衣子(筑波技術大学)

当日の様子

【分科会】

【分科会1】

分科会1では、基礎講座「どうする?どうなる?―受験・入学・授業―」というテーマで、今後大学を受験するにあたっての疑問、入学から授業開始までに必要な準備など、主に大学進学を控えている聴覚障害学生や、受け入れる大学教職員を対象にわかりやすく解説を行いました。聾学校教員の講師および参加者から、進学に当たって生徒達にどのような指導を行っているか具体的な情報交換が行われました。また、大学に進学する際に学生が自ら準備のために行動することは、将来就職する際にも必ず繋がり活かされる貴重な経験になる、ということが強調されました。

写真:分科会1の様子
【分科会2】

分科会2は、「詳解(しょうかい)!宮城教育大学―理念から日々の取り組みまで―」というテーマで、宮城教育大学でのしょうがい学生支援室設立の経緯や、学生ボランティア団体との協働など、宮城教育大学における聴覚障害学生支援の取り組みを様々な角度から詳細に紹介しました。特に「学生主体」の取り組みを大切にしてきたことが何よりの特色であるということが随所で語られました。当日は立ち見の方がでるほど多くの方にご参加頂いた分科会でした。

写真:分科会2の様子
【分科会3】

分科会3は、「一緒にスキルアップ!―ノートテイク・パソコンノートテイク・手話通訳―」というテーマで、講義の模擬通訳を行い、3つの手段ごとにアドバイザーを交えて通訳の振り返りを行うとともに、スキルアップの方法について情報交換や協議を実施しました。
当日は各グループに分かれてスキルアップの方法についてディスカッションが活発に行われましたが、どのグループにも共通して「利用学生の意見、ニーズを常に中心においてスキルアップを考えていきたい」ということが、改めて確認された分科会となりました。

写真:分科会3の様子
【分科会4】

分科会4は、「みんなで解決!現場の悩み―先輩・コーディネーターとともに考える―」をテーマに、学内ではなかなか解決できない悩みを聴覚障害学生、支援学生、教職員の属性ごとに話し合いました。コーディネーターや卒業生のアドバイザーとともに、解決の糸口を探ることを目的として行いました。限られた時間の中で、悩みに対する具体的な解決方法が議論されました。悩みにぶつかったときも、身近な人とのコミュニケーションやちょっとした経験が、解決に繋がるアイディアになるということを、参加者の方々に実感して貰えるような有意義なディスカッションでした。

写真:分科会4の様子

【全体会】

今回は以下の特別企画2つを行いました。

【特別企画】

特別企画「徹底解剖!PEPNet-Japan―あなたのギモンに答えます―」では、PEPNet-Japanのこれまでの活動や組織について解説するとともに、聴覚障害学生支援の専門家から支援に関する質問に回答頂きました。前半の組織についての説明では、PEPNet-Japanのこれまでの活動や各事業について細かく説明がありました。後半は参加者から事前に寄せられたPEPNet-Japanに対する疑問・質問や、支援に対する質問について、回答者それぞれからご意見を頂きました。

写真:特別企画の様子
【特別対談】

特別対談「宮城教育大学学長と語る―大学教育と障害学生支援―」では、高橋学長・藤島教授に御登壇頂き、大学組織のトップとして障害学生支援をどのように捉えているのか、宮城教育大学の支援体制はどのような経緯で出来上がったのか、また今後の障害学生支援にはどのような方策が必要になるのかなど、貴重なお話を頂きました。

写真:特別企画の様子

【ランチセッション】

今年度で3回目となる「聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト」では、「パネル発表部門」に14大学から16点のポスターを、「PR・啓発グッズ部門」では5大学からの応募を頂きました。会場では熱心に質疑を交わす参加者の熱気が溢れておりました。今年は学生が中心となって発表している大学が多く、学生同士の情報交換の場としても非常に意義深いものとなりました。 また、東北地区の大学で行われている活動紹介ポスター展示も、7大学からご協力を頂き、多くの方にご紹介ができました。併せて聴覚障害学生支援に関する機器展示を行い、モバイル型遠隔情報保障システム、FM補聴器、パソコン要約筆記ソフト「IPtalk」、のいずれのブースでも、絶えず参加者との質疑が行われていました。

写真:コンテストの様子
写真:機器展示の様子
写真:東北地区ポスター

『聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2010 結果発表』のページへ

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