第8回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム
2012年12月2日に、愛媛大学にて日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムは、PEPNet-Japanが毎年1回開催しているもので、我々の活動の成果をより多くの大学・機関に向けて発信するとともに、全国の高等教育機関における支援実践について情報交換をするものです。

午前中の分科会では、基礎講座「愛媛大学障がい学生支援体制構築のあゆみ」、「実践!職場でのエンパワメント」、「見て学ぼう!みんなの書き方・打ち方」、「解決!コーディネート現場の悩み」の4分科会を行い、非常に充実した意見交換が行われました。
全体会Ⅰでは特別講演を設け、文部科学省高等教育局の担当官より「高等教育機関における障害学生への合理的配慮について」と題して、障がい学生の修学支援に関する検討会の報告について講演をいただきました。すべての大学が注目する政策動向について、情報を得る貴重な機会となりました。

午後は今年初の試みとして、ランチセッションの時間を大幅に拡大し、企画数も増やして実施しました。5回目の開催となった「聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト」では、16の大学・団体から日頃の取り組みが紹介され、参加者の投票によって注目度の高い発表が表彰されました。
また松山市での開催にちなみ、愛媛大学、松山大学や松山市内で活動するNPO団体の紹介パネル展示も行いました。
新企画の「ミニセミナー」では、広いランチセッション会場内にセミナースペースを設け、「PEPNet-Japan活動紹介」「聴覚障害学生への合理的配慮」「四国地区の大学紹介(四国学院大学・松山大学)」と様々なテーマを設け30分のミニ講演を行いました。 また同じく新企画の「相談コーナー”トーク&トーク”」では、5つのテーマごとにブースを設け、集まった参加者やアドバイザーが自由に情報交換や相談ができる場を提供し、多くの参加者の方にご利用いただきました。
毎年盛況を重ねるこのシンポジウム開催にあたり、実行委員や講師等でご協力いただきました皆様、そしてご参加頂いたすべての皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2013年3月吉日
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局
開催要項
- 日時 2012年12月2日(日) 9:30~16:00
- 会場 愛媛大学
プログラム
9:30~11:30 分科会
■分科会1 「基礎講座:障がい学生支援体制構築のあゆみ-学生たちはどう行動してきたか?!-」
- 企画コーディネーター:原田美藤氏(愛媛大学)
太田琢磨氏(愛媛大学) - 司会:原田美藤氏
- アドバイザー:池田愛氏(卒業生)
天津祐子氏(卒業生)
相川祥穂氏(学生)
植山廣紀氏(学生)
太田琢磨氏(学生)
■分科会2 「実践!職場でのエンパワメント」
- 企画コーディネーター:石原保志(筑波技術大学)
大杉 豊(筑波技術大学) - 司会:大杉 豊
- アドバイザー:鈴木英司氏(トランスコスモス株式会社)
森﨑めぐみ氏(聴覚障害当事者(大手企業会社員))
A氏(聴覚障害当事者(大手企業 会社員))
石原保志
■分科会3 「見て学ぼう!みんなの書き方・打ち方」
- 企画コーディネーター:河野純大(筑波技術大学)
- 司会:河野純大
- アドバイザー:岡田孝和氏(日本社会事業大学)
越智英恵氏(卒業生)
有海順子氏(筑波大学)
二宮雅美氏(愛媛大学)
■分科会4 「解決!コーディネート現場の悩み」
- 企画コーディネーター:松﨑 丈氏(宮城教育大学)
- 司会:松﨑 丈氏
- アドバイザー:源田信子氏(関西学院大学総合支援センター)
柴田可奈恵氏(東洋大学共通教務)
水野里香氏(群馬大学障害学生サポートルーム)
村田 淳氏(京都大学障害学生支援室)
11:45~12:15 全体会Ⅰ
■開会式
■特別講演「高等教育における障害学生への合理的配慮について」
- 講師:松尾泰樹氏(文部科学省高等教育局学生・留学生課 課長)
12:30~15:15 ランチセッション
- 相談コーナー トーク&トーク
- ミニセミナー
- 聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2012
- 聴覚障害学生支援に関する機器展示
- 松山地域活動紹介展示
- PEPNet-Japan連携大学・機関活動紹介展示
- 筑波技術大学活動紹介展示
15:30~16:00 全体会Ⅱ
コンテスト表彰式 / 閉会挨拶
前日の関連企画
シンポジウム前日(12月1日(土))には、次のような関連企画を設けました。
- 愛媛大学見学ツアー
- 学生交流企画
参加費 無料
主催
- 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)
- 国立大学法人 筑波技術大学
共催 国立大学法人 愛媛大学
協力
- 四国学院大学
- 松山大学
後援
文部科学省/独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO) 愛媛県/松山市/NHK松山放送局/愛媛新聞社/四国新聞社/徳島新聞社/高知新聞社
大会長 高橋 信雄(愛媛大学)
事務局長 白澤麻弓(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)
実行委員
松田正司・立入 哉・岩川 保・苅田知則・平尾友隆・原田美藤・太田琢磨・石田隼人・二宮雅美・黒田友貴・相川祥穂・松田聡子・植山廣紀(愛媛大学)
石原保志・及川 力・小林正幸・佐藤正幸・石塚陽二・三好茂樹・大杉 豊・河野純大・磯田恭子・中島亜紀子・石野麻衣子・五十嵐依子・小林洋子(筑波技術大学)
当日の様子
【分科会】
【分科会1】
分科会1 基礎講座「愛媛大学障がい学生支援体制構築のあゆみ-学生たちはどう行動してきたか?!-」では、分科会の柱として「支援体制がどのように確立されてきたか」「現在の取り組みと課題」「大学版モコゲームを使った体験」の3つを挙げて実施しました。 前半は、卒業生や現役学生、支援室職員による取り組み紹介を通し、過去に聴覚障害学生が大学に働きかけてから現在の体制に至るまでのプロセスを、学生の行動を軸としながら振り返り整理しました。後半では、「大学版モコゲーム(試作版)」を使って、聴覚障害学生が大学で講義を受ける際の状況を体験し、支援環境を整える際に必要な支援を学びました。

【分科会2】
分科会2 「実践!職場でのエンパワメント」では、2011年に実施したエンパワメント事業で試みた「就職に備える:職場での困難」を参考に、就労に向けて大学が取り組むべき支援や、聴覚障害学生自身が在学中に培っておくべき力について考えることを目的に開催しました。
前半は聴覚障害学生が参加する形で3つのグループに分かれて職場でのコミュニケーション場面を取り上げたそれぞれ異なるロールプレイを行い、支援関係者も加わるディスカッション形式にてロールプレイの内容に関する討議を行いました。後半では、各グループがまとめた解決策に対して講師からの助言を行いました。
「エンパワメント」をキーワードに、学生にうちに身につけておきたい知識・技術についての確認をすると共に、学生のうちに主体性と社会性を培っていくことの大切さを学びました。

【分科会3】
分科会3 「見て学ぼう!みんなの書き方・打ち方」では、参加者が手書きノートテイクとパソコンノートテイクのいずれかの方法で講義の模擬通訳を行なった後、さまざまな工夫を取り入れて支援している4大学の事例報告を聞き、情報保障における多様な工夫を共有しました。
そのほか、意見交換やアドバイザーからのコメントを通して、配布資料の使い方や要約して表出する際の注意点という支援技術論の学びに留まらず、支援学生と聴覚障害学生がともに情報保障のあり方を考えていくことの大切さを参加者が再確認する機会となりました。

【分科会4】
分科会4 「解決!コーディネート現場の悩み」では様々な支援組織をもつ4つの大学から支援担当職員やコーディネーターをアドバイザーに招き、コーディネート業務の中でも特に課題が多いと言われる「入学前の面談」「支援学生の募集・養成」「学生のスキル向上・関係作り」について、各大学の規模や支援組織の特性に応じた取り組みを紹介いただきました。
また、これからの支援は教育的な視点に立ち、大学全体が関わって進めることによって支援の質的な充足が図られ、大学の質向上にもつながっていくということが確認されました。

【全体会Ⅰ】
【特別講演】
特別講演では、文部科学省高等教育局学生・留学生課の松尾泰樹課長が「高等教育における障害学生への合理的配慮について」をテーマに、障がい学生の修学支援に関する検討会の報告について講演をいただきました。すべての大学が注目する政策動向について、情報を得る貴重な機会となりました。

【ランチセッション】
PEPNet-Japan連携大学・機関活動紹介ブースでは、全国の連携大学・機関の活動紹介をパネルで紹介しました。

聴覚障害学生支援に関する機器展示では、筑波技術大学の教員・学生の協力を得て先端の情報保障技術の展示を4件行いました。また、Googleクラウドサービスを活用したコーディネートシステムおよび日常生活用具の展示も行い、いずれのブースにおいても参加者との意見交換が活発になされていました。

【相談コーナー“トーク&トーク”】
今回初めての企画として、テーマごとに講師と参加者が自由に相談できるスペースを設けました。講師は午前中の各分科会登壇者や、PEPNet-Japan運営委員など、聴覚障害学生の専門家の方々にお願いをしました。日頃の支援に関する悩みや分科会では時間がなくて聞けなかった質問などが話され、マンツーマンの相談だけでなくグループで意見交換が行われる場面もあり、終始和やかな雰囲気で進められていました。

【ミニセミナー】
こちらも今回初めての企画として実施しました。特にシンポジウムに初めて参加される方々や聴覚障害学生支援について基本的な情報を得たいと考えられている方々を対象として、3つの基礎的なセミナーを開講しました。
- 「PEPNet-Japan活動紹介」(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター准教授 白澤麻弓氏)
- 「聴覚障害学生支援における合理的配慮とは」(群馬大学教育学部准教授 金澤貴之氏)
- 「松山大学 障がい学生支援団体POP-全ての学生に心と身体のバリアフリーを-」(松山大学学生)
- 「四国学院大学CHCの取り組み」(四国学院大学学生)

【聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト】
今年度で5回目となるコンテストでは、「パネル発表部門」に12大学、「PR・啓発グッズ部門」に3大学が参加しました。今回も学生が中心となって活動発表をしている大学が多く、2時間があっという間に感じられるほど、参加者同士の積極的な情報交換が行われていました。
→『聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2012 結果発表』のページへ
