平成25年度聴覚障害学生エンパワメント研修会
PEPNet-Japan地域ネットワーク形成支援事業では、聴覚障害学生のエンパワメント及びエンパワメントに必要なプログラムの開発を目的に、2014年2月14日~15日の1泊2日で、聴覚障害学生エンパワメント研修会を開催しました。本コンテンツでは研修会の様子を報告します。
研修会概要
目的
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)は、全国の高等教育機関で学ぶ聴覚障害学生支援のために立ち上げられたネットワークで、事務局がおかれている筑波技術大学をはじめ、全国の大学・機関の協力により運営されています。高等教育支援に必要なマテリアルの開発や研修会の開催などを通して、聴覚障害学生支援体制の確立および全国的な支援ネットワークの形成を目指しています。
高等教育機関で学ぶ聴覚障害学生の増加にともない、ノートテイク等の情報保障支援を行ったり支援コーディネートにあたる専門職員を配置したりする教育機関は増加しつつあります。また、障害者差別解消法が平成28年4月から施行されることを受け、大学等においても「合理的配慮」の提供が求めることになり、さらなる支援体制の充実が求められることとなります。
このように支援体制が充実していく一方で、聴覚障害学生が自ら支援の必要性を大学に訴えたり、支援に関する情報を収集したりする機会は少なくなっています。そのため、周囲に働きかけて環境改善を図る経験をしないまま大学等を卒業し、社会に出てから人間関係等に困難を抱えるケースも見受けられます。また、支援を受けているけれども、聴覚障害学生自身がその支援のさらに有効な活用方法や、自分のニーズを伝える手段等について考える機会はあまり多くないと思われます。
こうした現状を受け、本研修会では、聴覚障害学生のエンパワメントをテーマとした講演・ワークショップ等を実施し、今後の学生生活や卒業後に活かせる知識や、自ら周囲と交渉する力等を身に付けてもらうことを目的に開催いたします。
さらに、北海道内の聴覚障害学生支援を担当する教職員が集い、支援に関する情報交換やディスカッションを通じて、障害学生のエンパワメント支援について考えるとともに、北海道地区のネットワーク形成につなげることも目的としています。
日時 | 2014年2月14日(金)~15日(土) |
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会場 | NTT北海道セミナーセンタ |
対象 | (1) 北海道内の大学等の高等教育機関に在籍する聴覚障害学生 (2) PEPNet-Japan連携大学・機関に在籍する聴覚障害学生 (3)全国の大学等の高等教育機関に在籍する聴覚障害学生 (4)本研修に参加する学生が在籍する高等教育機関の教職員で、当該学生の引率として同行する方 |
参加者 | 53名(学生13名、教職員6名、実行委員7名、その他講師、スタッフ等27名) |
主催 | 札幌学院大学 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) |
協力 | 北海道大学 北星学園大学 北海道情報大学 |
協力団体 | 公益社団法人 北海道ろうあ連盟 公益社団法人 札幌聴覚障害者協会 |
実行委員 | (敬称略) 新國三千代(札幌学院大学 人文学部こども発達学科 教授) 藤野友紀(札幌学院大学 人文学部人間科学学科 准教授) 井上寿枝(札幌学院大学 教務課学習支援係(学習支援室)) 松田康子(北海道大学 教育学研究院 准教授) 竹下欣吾(北海道大学 学務部学生支援係(学生支援企画担当)) 加藤喜久子(北海道情報大学 学習支援センター長・医療情報学部 教授) 媚山敏文(北海道情報大学 学生サポートセンター 事務室長) 木下武徳(北星学園大学 社会福祉学部福祉計画学科 准教授) 三好茂樹、大杉豊、萩原彩子、磯田恭子、石野麻衣子 (筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター) |
ブラシス (ブラザー・シスター) | (敬称略) 北川朋恵(社会人) 佐藤尚行(社会人) 森 恵子(社会人) 京野大樹(社会人) |
※ブラザー・シスターとは、参加する聴覚障害学生にロールモデルを提示しながら、グループ内の話し合いや活動をリードする役割を担う聴覚障害のある社会人のことである。今回は札幌聴覚障害者協会のご紹介のもと、北海道地区聴覚障害者4名にご協力をいただきながら各企画を進行した。